偉人・達人が残したもの

キャリア・デザイン、キャリア・カウンセリングという言葉にふれる機会が多くなりました。夢をもてなくなり、将来的な職業観や仕事に対するイメージが描けない子どもたちが増えているからでしょうか。人生の3分の1の時間を費やす仕事に向き合うことで、偉人・達人といわれる人々は、何を学び、どんなことを教訓として得たのか。子どもたちに職業のプロ、人生のプロがつかんだ生きることのすばらしさをメッセージとして贈るときに参考になります。 

<ご利用にあたって>
以下の文章を通信に引用される場合は、文末にある出典(書名・著者名・出版社名)を明記して下さい。


対象学校だより・学級通信・学年通信

器用な人は自分の欠点を知らない。
不器用な人は自分の欠点を熟知しているものだ。

藤本 義一さん著『人生の賞味期限』(岩波書店)

「器用貧乏」という言葉がある。何事にも器用であるが、これといって特にずば抜けているものがないためにいつも貧乏していることをいう。  器用な人は何でもこなせる能力をもっているので人からうらやましがられるが、そういう人は案外「移り気」で、一つのことに満足しないで次々手を出していくのではないだろうか。何でもある程度はできてしまうので、「こんなものか」と満足してその先を極めることをしないのだろう。

 

 藤本さんは、多趣味は無趣味という。
 趣味を多くもつ人は、今日は絵画、明日は陶芸、明後日は俳句、そしてその後はカラオケ教室と走り回る。そういう人は「口の中で一杯に頬張って懸命に目を白黒させて咀嚼しているように思う」と書いている。

 

 趣味を多くもっている子どもも同じだ。親は本人のやりたいことをさせているというが、本当はやらせているのだ。「何でもできる人になってほしい」というのが親の本心だ。しかし、「何でもできる」という中途半端な自信が、本人の才能を見失わせることになってしまうのではないか。藤本さん流に言えば「万能は無能」に帰するおそれがある。

 不器用な人は、自分の欠点を歳月をかけて修正していこうと努力してその奥深さを知り、次第に謙虚さを身につけていく。生き方の問題として一度考えてみたいテーマである。

(『生徒に贈る言葉の花束』佐藤允彦著/ 学事出版より)


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