偉人・達人が残したもの

キャリア・デザイン、キャリア・カウンセリングという言葉にふれる機会が多くなりました。夢をもてなくなり、将来的な職業観や仕事に対するイメージが描けない子どもたちが増えているからでしょうか。人生の3分の1の時間を費やす仕事に向き合うことで、偉人・達人といわれる人々は、何を学び、どんなことを教訓として得たのか。子どもたちに職業のプロ、人生のプロがつかんだ生きることのすばらしさをメッセージとして贈るときに参考になります。 

<ご利用にあたって>
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対象 学校だより・学級通信・進路通信

決して善いことをしていると思いなさんな。
たとえ大海の中の一粒の塩であっても、その一粒分が欠けてはいけない。

犬養 道子さん(評論家)

 難民地での教育活動や植樹などに取り組んでいる中で、難民地に行く学生に必ず言う言葉です。

 栄養失調で眼窩(がんか)から落ちる目、ナイフでそぎ取られた鼻の跡など……。アフリカやアジアの難民収容所を奉仕活動で訪れる日本の学生の多くは、涙を流し、立ちつくしたと言います。

「心根が優しいのはわかります。しかし、泣いて突っ立っていては、邪魔になるだけです」。奉仕活動はペンキ塗りか、道の石の片づけかもしれません。勇壮な夢を抱く者はがっかりするでしょう。

「ペンキを塗ることだって、切実に求められています。抽象的な善意ではなく、具体的な奉仕を通してしか得られない出会いがあります。『どうしたらいいんでしょうか』と、若者に尋ねられると、『部屋の隅のごみを拾う、というようなことから始めなさい。今、ここで見ることから』と答えています」


(『心を育てる言葉の贈り物』岩田壽夫著/ 学事出版より)


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