偉人・達人が残したもの

キャリア・デザイン、キャリア・カウンセリングという言葉にふれる機会が多くなりました。夢をもてなくなり、将来的な職業観や仕事に対するイメージが描けない子どもたちが増えているからでしょうか。人生の3分の1の時間を費やす仕事に向き合うことで、偉人・達人といわれる人々は、何を学び、どんなことを教訓として得たのか。子どもたちに職業のプロ、人生のプロがつかんだ生きることのすばらしさをメッセージとして贈るときに参考になります。 

<ご利用にあたって>
以下の文章を通信に引用される場合は、文末にある出典(書名・著者名・出版社名)を明記して下さい。


対象学校だより・学年だより・学級通信

努力というのは言い換えれば「やせ我慢」なんです。
つまり、我慢のない努力というのはありませんから。

林 望さん(作家)著『魅力ある知性を作る24の方法』(青春出版社)

この本の帯に、「35歳まで何ひとつ結果の出なかった著者の体験的な幸福論」とある。努力しているのに、いっこうに結果が出ないと悩んでいる生徒に、希望を与える本と思われる。しかし、「結果が出ないというのは、努力のやり方が足りないんです」と、林氏はけっこう手厳しく突き放す。

教師は生徒によく「努力しなさい」「頑張りなさい」と言い、母親は子どもに「我慢しなさい」と言う。しかし、豊かな生活環境に慣れきってしまった子どもは、「努力しても結果が見えているよ」「頑張ったって先が見えないし、どうせ同じだ」とあきらめていっこうに動かず、親や教師の助言や忠告を無視することが少なくない。そんな子どもたちに著者が言うように「やせ我慢をしなさい」と言ってみたら、どんな反応をするだろうか。

林氏は、「やせ我慢とは報われない努力のことで、報われる努力はやせ我慢ではありません。人生には特にこの報われないやせ我慢こそが必要なんです」と言う。子どもに、このような体験をさせてみるのが一番だ。

テレビゲームに夢中になっている子どもには理解が得られないかもしれないが、スポーツで汗を流し、技術を会得してその面白さを知った子どもなら、やせ我慢の気持ちがわかるのではないだろうか。
3年生で進学準備をしなければならないころになっても「引退」せず、ボールを追いかけて楽しんでいる生徒がいるが、それは「やせ我慢」した結果、「楽しみ」というごほうびをもらったからやめられないのである。

林氏が、「楽しみというのは、努力とひと連なりのもので、努力を先へ進ませる力かなぁと思うんですね」と言っていることと関連があるのではないだろうか。
「うちの子は才能がない」と嘆いている母親に、「才能というのは努力できる力のことです」という林氏の言葉を伝えたい。子どもが変わるまで、大人もやせ我慢しなければならない。

(『生徒に贈る言葉の花束』佐藤允彦著/学事出版より)


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