偉人・達人が残したもの

キャリア・デザイン、キャリア・カウンセリングという言葉にふれる機会が多くなりました。夢をもてなくなり、将来的な職業観や仕事に対するイメージが描けない子どもたちが増えているからでしょうか。人生の3分の1の時間を費やす仕事に向き合うことで、偉人・達人といわれる人々は、何を学び、どんなことを教訓として得たのか。子どもたちに職業のプロ、人生のプロがつかんだ生きることのすばらしさをメッセージとして贈るときに参考になります。 

<ご利用にあたって>
以下の文章を通信に引用される場合は、文末にある出典(書名・著者名・出版社名)を明記して下さい。


対象 学校だより・学級通信

人は自分を嫌いな人を決して好きにならない。
自分を嫌いな人に対しては自分も嫌いになる。
これが対人心理学の基本原則、嫌悪の報復性である。

齋藤 勇 さん(立正大学心理学部教授)月刊『武道』2014.2

 同じことが二度繰り返されているような表現であるが、「好きにならない」と「嫌いになる」との間には大きな段差がある。
 自分を嫌いな人には、最初のうちは踏みとどまって、私も「好きにならない」とじっとしているが、その嫌いさが増してくると、「嫌いになる」と攻撃性を強める。何らかの形で、「報復」してやろうと思ってくる。相手が自分を嫌いになったと同じくらいの分量で嫌いになるのではなく、その嫌い度は〈倍返し〉に近くなる、それがこの言葉の真意である。

 だからどうするかであるが、齋藤氏はここで、D・カーネギーの『人を動かす』の基本法則の第1をあげる。「人を批判するな 人を非難するな 人に文句を言うな」である。この本の原題は「いかに友人をつくり、人を動かすか」であるから、友人関係を想定して、この法則を考えるのが妥当であろう。

 友人としてやっていく必要のない人との関係であれば、この法則は意味をなさないし、つまらなくも思えるだろう。しかし、「嫌い」を一時的な感情として、友人との修復を考える時には、この法則が生きてくる。

 ハチミツが欲しいのなら、ミツバチの箱を蹴飛ばすようなことはするな、である。嫌いに対しては、批判・非難・文句が出るが、それを押さえさえすれば、雨降って地固まるの時が来る。


(この人このことば/五嶋靖弘『月刊プリンシパル』2014年9月号/ 学事出版より)


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