偉人・達人が残したもの

キャリア・デザイン、キャリア・カウンセリングという言葉にふれる機会が多くなりました。夢をもてなくなり、将来的な職業観や仕事に対するイメージが描けない子どもたちが増えているからでしょうか。人生の3分の1の時間を費やす仕事に向き合うことで、偉人・達人といわれる人々は、何を学び、どんなことを教訓として得たのか。子どもたちに職業のプロ、人生のプロがつかんだ生きることのすばらしさをメッセージとして贈るときに参考になります。 

<ご利用にあたって>
以下の文章を通信に引用される場合は、文末にある出典(書名・著者名・出版社名)を明記して下さい。


対象 学校だより・学級通信 ねらい進路選択や生きていくうえで夢をもつことの大切さを伝える

「運がいい」とよく言われるが、夢(目的)をもたなければ運はこない…

安藤忠雄さん(建築家)

闘う建築家、異端の建築家といわれ、世界的にその才能が評価されている安藤さん。その歩んできた道は、決して平らで楽なものではなかったのです。安藤さんはコテコテの大阪人。(中略)大阪府立城東工業高校を卒業後、室内装飾の仕事をしながらボクシングにも精を出し、プロボクサーのライセンスまで取りました。一方では、独学で建築士の資格も取得。大変な努力家だったようです。

安藤さんは建築家になりましたが、その建築思想はこれまでの建築界の常識を覆すものでした。それは「住吉の長屋」(部屋が一室一室完全に独立し、一軒の家のようになっているもの)という小住宅に代表される建築方法です。これで安藤さんは建築界から注目を浴びたのです。それは規制や慣習を打ち破るという孤独で熾烈な闘いでもあったのです。

これはあらゆる分野において言えることですが、これまでの日本では、ある程度の「学歴」がなければ、いくら才能があっても評価されづらく、その才能を十分に発揮する場すら与えられないという、暗黙の了解のような権威主義があったのです。

建築界のノーベル賞といわれる「プリッカー賞」をはじめとして、日本建築学会賞など数多くの建築賞を受賞していた安藤さんですが、日本で有名になる前に「世界のアンドー」として知られていたのです。不思議なことに、学歴がなくても海外で評価されると「日本でも評価される」のです。
(中略)
安藤さんは、1995(平成7)年1月17日に起きた阪神・淡路大震災を見て、自然の脅威と現代都市のもろさを思い知らされたそうです。(中略)安藤さんは、建築・都市建設にかかわるプロの職人として責任を感じ、被災地に何度となく足を運んでさまざまなことを学びます。あの震災から十数年の歳月が流れていますが、安藤さんはいまでも「安全な都市」とは何かを追い求めています。

安藤さんのモットーは「飾り気のない本当の愛情」のようです。阪神・淡路大震災の被災地に25万本もの樹木を植えたボランティア活動の最先端に立って活躍したことからもそう感じます。建築に関しても、無駄な飾り気を極力排し、コンクリートの箱型建築のベースには、住居としての機能性と住む人への愛情が表現されているように思えます。

安藤さんは、「運にも恵まれました。でも、運というものは夢をもたなければこちらにはきません」と言っています。その通りだと思います。よく「あいつは運のいい奴だ。ツイている」などと言いますが、何もしないで運などはめぐってくることはありません。

(『現代の偉人・達人から学ぶ人間力』 奥野真人著/学事出版より)


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