偉人・達人が残したもの

キャリア・デザイン、キャリア・カウンセリングという言葉にふれる機会が多くなりました。夢をもてなくなり、将来的な職業観や仕事に対するイメージが描けない子どもたちが増えているからでしょうか。人生の3分の1の時間を費やす仕事に向き合うことで、偉人・達人といわれる人々は、何を学び、どんなことを教訓として得たのか。子どもたちに職業のプロ、人生のプロがつかんだ生きることのすばらしさをメッセージとして贈るときに参考になります。 

<ご利用にあたって>
以下の文章を通信に引用される場合は、文末にある出典(書名・著者名・出版社名)を明記して下さい。


対象学校だより・学級通信・進路通信

弾くことは自分の蓄積したものを身を削って聴衆に伝える行為。
今、人間性を養わないと、このままでは空っぽになってしまう。

諏訪内 晶子 さん(バイオリニスト)

諏訪内さんは3歳でバイオリンを習い始め、チャイコフスキー国際コンクールで優勝したときは、史上最年少の18歳だった。
公立中学校で進路先を高校の普通科にするか音楽科にするかで迷ったとき、面識もない江藤俊哉氏に「私のバイオリンを聴いてください」と手紙を書いてそれを実現し、江藤氏の薦めで音楽の道に進む決意をしたという。

高校に進学した後、たった3年で難関といわれるコンクールに優勝したのだから諏訪内さんには卓越した音楽の才能があったことは明らかだが、自分の進路を真剣に考えてバイオリンの大家である江藤氏に自分の将来の可能性を相談した。その積極的な行動力には感心するばかりである。

人生は人との出会いによって大きく変わる。
優勝した翌年、世界的なバイオリニストのアイザック・スターン氏に「あなたの音楽をあなた自身で表現しなさい」と忠告されて、プロとしての音楽家のあり方を厳しく教えられた諏訪内さんは、演奏会は自分の音楽を能動的に表現する場であると知り、演奏活動を中断してアメリカのコロンビア大学に留学、音楽だけでなく政治思想史なども学んだ。

芸術の世界に挑む人は、強烈な個性の持ち主が多い。若い諏訪内さんが聴衆に良い演奏を聴いてもらおうとして専門以外のことにも関心をもち、幅広い修養に努めて自己を磨き続けている。この積極的な生き方を中・高校生にもぜひ学んでほしいものである。

(『生徒に贈る言葉の花束』佐藤允彦著/学事出版より)


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