偉人・達人が残したもの

キャリア・デザイン、キャリア・カウンセリングという言葉にふれる機会が多くなりました。夢をもてなくなり、将来的な職業観や仕事に対するイメージが描けない子どもたちが増えているからでしょうか。人生の3分の1の時間を費やす仕事に向き合うことで、偉人・達人といわれる人々は、何を学び、どんなことを教訓として得たのか。子どもたちに職業のプロ、人生のプロがつかんだ生きることのすばらしさをメッセージとして贈るときに参考になります。 

<ご利用にあたって>
以下の文章を通信に引用される場合は、文末にある出典(書名・著者名・出版社名)を明記して下さい。


対象学校だより・学級通信

与えられた感動はさめやすい。

高田 敏子さん(詩人)

 高田敏子は1914年に生まれ74歳で亡くなるまで、身のまわりで起きたことを詩にまとめ、生活と詩を結ぶ「野火」の会をつくり、隔月で詩誌『野火』を発行してきた。温かなまなざしから「お母さん詩人」と呼ばれるほど優しい詩がたくさん生まれた。(中略)

 高田さんは「自分の目でものを見る」ことの大切さを説き、目につきやすいものより、見落としてきたものに存在の重さや意味の深さがあると述べている。
 著書の中で、「与えられた感動ではなく、自分で作り出す感動をもたなければならないのです。私達の今の暮らしは、与えられるものばかりになってしまいました。自分で考え、創る、ということが、どんどんなくなってゆくのです」と受動的な生活態度を懸念している。(中略)

 高田さんの言うように、今は与えられることが多いかもしれないが、それを自分のものとしてとらえ直して自分なりの工夫や努力で納得のいく結果を出すようにすれば、感動はいつまでも心に残るのではないだろうか。要は一歩踏み出すことである。ためらってはならない。一歩踏み出す勇気が感動をもたらすだろう。

(『生徒に贈る言葉の花束』佐藤允彦著/ 学事出版より)


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