偉人・達人が残したもの

キャリア・デザイン、キャリア・カウンセリングという言葉にふれる機会が多くなりました。夢をもてなくなり、将来的な職業観や仕事に対するイメージが描けない子どもたちが増えているからでしょうか。人生の3分の1の時間を費やす仕事に向き合うことで、偉人・達人といわれる人々は、何を学び、どんなことを教訓として得たのか。子どもたちに職業のプロ、人生のプロがつかんだ生きることのすばらしさをメッセージとして贈るときに参考になります。 

<ご利用にあたって>
以下の文章を通信に引用される場合は、文末にある出典(書名・著者名・出版社名)を明記して下さい。


対象学校だより・学級通信・進路通信

何もしなければ、何も起こらない。
でも人生において挑戦することの本当の意義は、
勝つことじゃないんだ。体験することさ。
人生は勝負じゃないからね。大事なのは、何を体験するかなんだよ。

ボブ・ウィーランド さん(退役軍人)『腕で歩く』

 ボブはメジャーリーグの投手になる夢を持っていたが徴兵され、1969年4月、23歳の時、ベトナムのサイゴン近郊をパトロール中に地雷を踏み、下半身を失った。帰還後、体を鍛えていろいろなことに挑戦した。ロスやニューヨークのマラソンを4回も完走したり、2本の腕でアメリカ大陸を横断したり、トライアスロンにも挑戦した不屈の男である。

(中略)

 拳につける特製の「くつ」と「胴袋」を身に付けて、4500キロの道のりを両手を前についてから、体を前方に投げ出して一歩ずつ進む。気の遠くなるような距離を1日5キロから8キロ進み、3年8カ月かけてロスからワシントンへの横断を果たした。その意志の強さに驚嘆する。

 ボブは「皆と同じだ。たまたま足がないだけなんだよ」とさりげなく言うが、足があっても大陸を横断しようなどと思う人はいないだろう。私たちは自分で自分の可能性を見限っていないだろうか。いつも「やればできる」と口先で強がるだけだ。

 「人間はね、ちゃんと目標を立てて、それに向かってがんばれば、何だってできるんだ。やろうと思うかどうかなんだよ」と言うボブの言葉には「有言実行」の重みがある。

(『生徒に贈る言葉の花束』佐藤允彦著/ 学事出版より)


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