偉人・達人が残したもの

キャリア・デザイン、キャリア・カウンセリングという言葉にふれる機会が多くなりました。夢をもてなくなり、将来的な職業観や仕事に対するイメージが描けない子どもたちが増えているからでしょうか。人生の3分の1の時間を費やす仕事に向き合うことで、偉人・達人といわれる人々は、何を学び、どんなことを教訓として得たのか。子どもたちに職業のプロ、人生のプロがつかんだ生きることのすばらしさをメッセージとして贈るときに参考になります。 

<ご利用にあたって>
以下の文章を通信に引用される場合は、文末にある出典(書名・著者名・出版社名)を明記して下さい。


対象学校だより・学級通信・学年通信

同じことをするのが必ずしも平等とは言えないと思うんですよ。
そうではなくて、「やるチャンスが等しくある」ということが平等なんだと思うんです。

三宮 麻由子さん(エッセイスト)

 1966年生まれの三宮(さんのみや)さんは4歳の時に病気で失明した。それ以来、感性を磨きながら上智大学大学院博士前期課程を修了し、現在は外資系通信社に勤務している。全盲であるがゆえに人と同じことをするのに何倍も時間がかかる。家族はもちろん、他の人も手伝ってくれるが、いわば、その人たちの時間をもらって育ってきたから時間がとても大切に感じられるという。

 

 健常者と同じ成果が出せるとは限らないが、不可能なことを要求して「できないじゃないか」と評価を下すのではなく、できることがあるかないかを価値観の中心におく視点がほしいという三宮さんの言葉に障害を持つ人との接し方のヒントがある。

 「全盲だからといって特別扱いをしたくないという人がいるが、何でもかんでも同じようにするのは本当の意味での平等じゃない。やるチャンスが等しくあることが平等なんだ」と言う三宮さんの言葉から平等とは何かを考えてみたい。

(『生徒に贈る言葉の花束』佐藤允彦著/ 学事出版より)


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