偉人・達人が残したもの

キャリア・デザイン、キャリア・カウンセリングという言葉にふれる機会が多くなりました。夢をもてなくなり、将来的な職業観や仕事に対するイメージが描けない子どもたちが増えているからでしょうか。人生の3分の1の時間を費やす仕事に向き合うことで、偉人・達人といわれる人々は、何を学び、どんなことを教訓として得たのか。子どもたちに職業のプロ、人生のプロがつかんだ生きることのすばらしさをメッセージとして贈るときに参考になります。 

<ご利用にあたって>
以下の文章を通信に引用される場合は、文末にある出典(書名・著者名・出版社名)を明記して下さい。


対象学級通信・学校だより

私にとって書物は恋人であり、思想であった。

出久根 達郎さん(作家)『逢わばや見ばや』

 中学校卒業後、東京の月島の古書店に住み込みで働くようになった出久根さんは(中略)、ある時、客の差し出した本『国性爺合戦』(こくせんやかっせん)を「こくしょうじじいがっせん」と読んで、「読めなくても当たり前だわな」と同情された。このことでプロ意識に目覚めた出久根さんは、夜間高校に行かせてほしいと店主に願い出たが、店主は「学校なんて行く必要はない。古本屋そのものが学校だ。学校と違って良い点は、生徒が教師を選ぶことができる」と言った。

 出久根少年は学校への未練を断ち切り、自分なりの勉強を始めた。毎日『広辞苑』の1ページずつを3回読んだり、好きな作家の文章を書き写したりした。読んだ本の名前を記録し、気に入った文章を書き写したノートが2冊、3冊と増えるにつれて学ぶことが楽しくなっていった。「勉強を続けるコツは、勉強の痕跡を残すことだ」と知る。

 努力の成果を形に残すことは大切なことだ。それを見れば足らざるところや反省すべきところがわかるだけでなく、あらたに取り組むべき視点も見えてくる。何事でも形にしてまとめて残す工夫をしたい。出久根さんのように「本は恋人」とまで言えなくても、「本は友だち」と言えるように永く付き合いたいものだ。

(『生徒に贈る夢と希望がふくらむ150の言葉』佐藤允彦著/ 学事出版より)


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