子どもに届けたい今日のひとこと

「むずかしいのは続けること」「やってみたこと、ためしたことが財産」など、
担任として、校長として子どもたちとのふれあいのなかで
学校生活から拾いあげたちょっといい話。
通信のネタ探しのヒントにもなります。

<ご利用にあたって>
以下の文章を通信に引用される場合は、文末にある出典(書名・著者名・出版社名)を明記して下さい。


対象学級通信・学年だより

先生、鍵!

 放課後になるとクラブ活動を行うために、生徒が活動場所の鍵を取りに来ます。職員室のドアを開けるや否や子どもは叫びます。
「先生、鍵!」
「私は、鍵ではない」
「あ、先生、鍵貸してください」
「どこの?」
「体育倉庫の鍵です」
「なんで?」
「テニス部でボールを出したいんです」
「それじゃあ、全部まとめて言ってごらん」
「?」
「だから、『先生、テニス部ですけれどボールを出したいので、体育倉庫の鍵を貸してください』って、こう言ってくれれば渡す方は簡単に渡せるでしょ。お願いするのだから、お願いされた人に負担のかからないよう、一度でわかるように言わなければね。はい、鍵。頑張ってね」

 蕎麦屋で「オレは天麩羅」「私はザル」と言うのとはちょっと質が違う。家での会話なら、「ごはん」「これ!」と母親に単語や指示語だけで話をしても通じる。しかし、学校は家ではない。社会で通用する会話を教えるのが学校ではないだろうか。
 私は、「先生、鍵」の意味するところは十分にわかったうえで、今日も「私は、鍵ではない」と言い続けている(笑)。

(『こんな時どう言い返す ユーモアあふれる担任の言葉』池田修著/学事出版より)


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