子どもに届けたい今日のひとこと

「むずかしいのは続けること」「やってみたこと、ためしたことが財産」など、
担任として、校長として子どもたちとのふれあいのなかで
学校生活から拾いあげたちょっといい話。
通信のネタ探しのヒントにもなります。

<ご利用にあたって>
以下の文章を通信に引用される場合は、文末にある出典(書名・著者名・出版社名)を明記して下さい。


対象学校だより・校長室だより

きょうという日

室生 犀星(むろう・さいせい)

 時間が経つのは、どうしてこんなにも速く感じるのでしょうか。時間を知るものといえば、時計です。ちょうどその時刻になると、ボーンと時を知らせる仕組みが付いた時計をみなさんは知っていますか。(中略)

  時計でも
  十二時を打つとき
  おしまいの鐘をよくきくと、
  とても、大きく打つ。

 詩の始まりは、こんなふうです。(中略)続きはこうなっています。

  これがきょうのおわかれなのね、
  きょうがもう帰って来ないために、
  きょうが地球の上にもうなくなり、
  ほかの無くなった日にまぎれ込んで
  なんでもない日になって行く。

 なるほど、確かに今日一日が終わってしまうと、その「今日」は、昨日や一昨日や、そしてもっとたくさんのほかの日に混ざってしまいます。ですから、お別れの合図として、ひときわ大きな音で鐘を打つというのです。(中略)詩の最後は、こういう言葉で結ばれています。

  きょう一日だけでも好く生きなければならない。

 この言葉を書きたくて、詩人は時計の話から詩を始めたのでしょう。

(『子どもたちに詩の心を伝える講話』小金澤豊著/学事出版より)


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