子どもに届けたい今日のひとこと

「むずかしいのは続けること」「やってみたこと、ためしたことが財産」など、
担任として、校長として子どもたちとのふれあいのなかで
学校生活から拾いあげたちょっといい話。
通信のネタ探しのヒントにもなります。

<ご利用にあたって>
以下の文章を通信に引用される場合は、文末にある出典(書名・著者名・出版社名)を明記して下さい。


対象学校だより・校長室だより

「防災」と「減災」

江口恵子(北九州市立熊西中学校長)

 9月1日は、「防災」の日です。この日が防災の日となった経緯は、大正11年9月1日に起きた関東大震災がきっかけでした。本校でも、この日にシェイクアウト訓練などの防災訓練を行っています。でも、この訓練を今まで必死にやっていたでしょうか。形だけの訓練になってはいなかったでしょうか。

 そのことに気づかせてくれたのは、4月16日に起きた熊本地震でした。(中略)その日から熊本の多くの学校は休校になり、最後まで残されていた3つの学校が再開したのは、なんと5月11日でした。  その日の様子がテレビのニュースで放映されていました。(中略)校舎の土台は崩れ、危険立ち入り禁止の札も校庭のあちこちに貼られています。壁にも大きなひびが入っています。地震の爪痕が残る校舎で最初に行われたのが、避難訓練でした。ただ、私たちが普段行っている「訓練」とは違って、まさに命と向き合った「本番」そのものでした。

 教室の黒板には、被災者からのメッセージが書かれていました。
「長い間、この教室を避難所として使わせていただき、ありがとうございました。これから復興に向け頑張ります。皆さんも不自由、不便な生活が待っているかもしれませんが頑張ってね! ファイト!」というものです。(中略)

 今後も、残念ながら地震は起きるでしょう。私たちに地震を止めることはできません。でも、完全な「防災」はできなくても、「減災」をめざすことはできるはずです。人や地域とのつながりが「減災」に結びつきます。地域の防災訓練などにも積極的に参加し、中学生として何ができるかを考えてほしいと思います。

(『月刊プリンシパル』2016年9月号/学事出版より)


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