子どもに届けたい今日のひとこと

「むずかしいのは続けること」「やってみたこと、ためしたことが財産」など、
担任として、校長として子どもたちとのふれあいのなかで
学校生活から拾いあげたちょっといい話。
通信のネタ探しのヒントにもなります。

<ご利用にあたって>
以下の文章を通信に引用される場合は、文末にある出典(書名・著者名・出版社名)を明記して下さい。


対象学校だより・校長室だより

全力で努力したから、その涙には価値がある

 逆上がりが、なかなかできなかった1年生が放課後、お母さんと練習にやって来ました。そっと見ていると、お母さんに背中を押してもらいながら、1回。2回。そのたびに、両足はむなしく地面を叩いて、土煙を上げるばかりでした。何回か練習をした後、手のひらが痛くなったのか、両手の手のひらを眺めながらため息をついてしまいました。

 お母さんが、そろそろ帰ろうと話したのでしょうか。お母さんの顔を見上げて、指でもう1回と言っているようでした。お母さんがうなずくと、意を決したように「エイ!」と勢いをつけて回りました。

 そうしたら、「くるっ」と軽く1回転。逆上がりができたのです。見ていた私に気づいたのか、ガッツポーズと笑顔を見せてくれました。私も思わずガッツポーズを返し、大拍手です。その笑顔には、涙が光って見えました。全力で努力したからこそ流せる涙です。

(『教師の願いを子どもに届ける今日の一言』武正光江著/学事出版より)


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