子どもをやる気にさせる話

子どもがやる気を出すとき、その意欲の源となるのは夢と希望です。「あんなふうになりたい」「こんなことをやってみたい」という夢みる力と、「ボクにもできる」「ワタシだってやれる」という希望を子どもたちにどう与えるか。
そのヒントがギュッとつまった話をご紹介します。

<ご利用にあたって>
以下の文章を通信に引用される場合は、文末にある出典(書名・著者名・出版社名)を明記して下さい。


対象 学級通信・学年だより・進路通信

何かを始めるべき場所は、君がいるその場所なんだ。

リチャード・カー(米国人・コピーライター)『続・アメリカの心』

「この学校はオレのいる場所ではない」と言って3年間うつうつとして過ごした生徒がいた。中学校時代は陸上で華々しい活躍をして注目を集めていたが、学校群制度のために意にそぐわない学校に振り分けられて、やる気を失ってしまった。その一番の原因は校庭が狭く、陸上競技をする環境になかったことである。(中略)

 夢をもつことは大事なことだが、目の前の現実だけしか見えなかったのは、彼の不幸としか言いようがない。進学先の高校に十分な施設がなければ民間のクラブに所属するとか、陸上だけでなく、他のスポーツをするとか、何らかの方法があったはずだ。

 先生や親に悩みを訴えて助言を求めれば、きっと何かが見つかっただろう。まず、自分の置かれている立場をしっかり見極めることが大切だ。カーは、この文の前に「君にもしそれがあれば、世間はそのうちそれを認めるはずだ」と書いている。

「それ」とは何か。単に今もっている能力だけではないように思う。どうしても陸上がやりたければ、狭い施設のなかでも工夫して懸命に努力すれば、そのうち、それを見ている人が必ず手を差し伸べてくれるだろう。そうしたひたむきな姿勢なり努力が大切なのではないだろうか。

 自分の置かれた環境を嘆いてもしかたがない。それをどう受けとめ、どう改善していくか、そのために今いる場所から出発することが大切だ。フライングしたらやり直せばいい。

(『生徒に贈る夢と希望がふくらむ150の言葉』佐藤允彦著/学事出版より)


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