子どもをやる気にさせる話

子どもがやる気を出すとき、その意欲の源となるのは夢と希望です。「あんなふうになりたい」「こんなことをやってみたい」という夢みる力と、「ボクにもできる」「ワタシだってやれる」という希望を子どもたちにどう与えるか。
そのヒントがギュッとつまった話をご紹介します。

<ご利用にあたって>
以下の文章を通信に引用される場合は、文末にある出典(書名・著者名・出版社名)を明記して下さい。


対象 学年だより・学級通信・進路通信

「記憶の干渉」を逆利用する

似たような事柄を覚えようとすると、混乱して記憶が妨害されることがあります。こうした現象を「記憶の干渉」といっています。

ある人は、「小学生のとき掛け算の九九を覚えるのに、六七、四十二はすぐに頭に入ったのに、その逆の七六、四十二は覚えるのに苦労しました。今でもすぐ出てこなくて困るときがあります」と語ってくれました。
九九を習うとき、ふつう数が少ないほうから順番にします。だから、六七、四十二を習ったすぐあとで七六、四十二を覚えることになります。その人の場合、九九で似たような数を覚えることで、記憶の干渉が生じたと考えられます。(中略)

日頃の勉強でも、大量の知識をいっぺんに覚えようとすると、記憶があいまいになり、記憶の混同が起こったり、勘違いしたりした経験をもつ人は多いはずです。不用意な詰め込みが、記憶の働きを悪くさせているのです。

たとえば、明日の国語のテストで、まったく知らない漢字の四字熟語が100題出るとします。記憶力に自信がある場合は別にして、100個覚えるのが難しいと思ったら、頑張って無理に全部覚えようとしないことです。むちゃくちゃに覚えようとすれば混乱して、記憶の干渉を起こしてしまい、元も子もなくしてしまいます。それよりは、状況に応じて、50個または70個を確実に覚えたほうがよい点数がとれるはずです。

記憶力には、個人差があります。だから、ストレスなく覚えられる範囲を、勉強する本人が知る必要があります。満点を目指して、無理に詰め込んでしまい、その結果混乱して、20、30点しかとれないよりは、最初から半分だけを確実に覚えて50点をとるほうが、記憶の性質にかなった合理的なやり方であると考えられます。
確実に点をとるこのやり方は、「記憶の干渉」を逆利用した方法といえます。

(『学ぶ力と意欲を育てる60のいい話』笹田哲夫著/学事出版より)


「子どもをやる気にさせる話」バックナンバー