子どもをやる気にさせる話

子どもがやる気を出すとき、その意欲の源となるのは夢と希望です。「あんなふうになりたい」「こんなことをやってみたい」という夢みる力と、「ボクにもできる」「ワタシだってやれる」という希望を子どもたちにどう与えるか。
そのヒントがギュッとつまった話をご紹介します。

<ご利用にあたって>
以下の文章を通信に引用される場合は、文末にある出典(書名・著者名・出版社名)を明記して下さい。


対象学級通信・学年だより

練習は地味だし、90%はうまくいかない。良い時は10%あるかないか。
でも毎日できることを継続していたら、いつかはきっとできるようになる。
そう信じてやっています。

(「東京新聞」2018.5.10)三宅宏実

 重量挙げは数ある個人競技の中でも、確かに地味な競技である。練習ばかりか、試合の時も闘う相手は自分自身で、向かいには誰もいない。
 三宅選手は、リオデジャネイロ五輪の時、直前に腰痛が悪化し、痛み止めを打つほどの状態で本番に臨んだ。スナッチは2度の失敗後、3回目で成功させるも、この時点では8位と出遅れる。ジャークは1回目で105kgを記録し、失敗すればメダルを逃す3回目に107kgを成功させ、トータル188kgで3位、2大会連続でメダルという偉業を成し遂げた。

 その時のバーベルを抱きしめ、頰ずりするシーンは、映像を見た誰の目にも焼き付いていることだろう。プレッシャーをかけ続けるバーベルが、あたかも唯一の味方であるかのような不思議な情景であった。(中略)

 取材した記者は三宅選手の競技人生を書く、「9割の苦悩と1割の笑顔」と。この1割の愛くるしい笑顔を支えるものは、常人の到底及ばない苦闘という土壌があってこそ。さらにその底には、「全部やろうとしなくていい。欲張らずに、着実に、目の前のことだけをやり遂げることだ」という、父義行氏の言葉があるとのこと。

(『月刊プリンシパル』2018年7月号/学事出版より)


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