子どもをやる気にさせる話

子どもがやる気を出すとき、その意欲の源となるのは夢と希望です。「あんなふうになりたい」「こんなことをやってみたい」という夢みる力と、「ボクにもできる」「ワタシだってやれる」という希望を子どもたちにどう与えるか。
そのヒントがギュッとつまった話をご紹介します。

<ご利用にあたって>
以下の文章を通信に引用される場合は、文末にある出典(書名・著者名・出版社名)を明記して下さい。


対象学級通信・学年だより

頭のいい人は、言わば足の早い旅人のようなものである。
人より先に人のまだ行かない所へ行き着くこともできる代わりに、
途中の道ばたあるいはちょっとしたわき道にある肝心なものを
見落とす恐れがある。

寺田寅彦(科学者・随筆家)寺田寅彦全集第八巻『科学者とあたま』

 寺田寅彦は、「科学者は頭が悪いと同時に頭がよくなくてはならない」と述べている。
 科学者は正確で緻密な頭脳と、前途を見透す直感力をもたなければならない。その意味では頭がよくなくてはならないが、その一方で、頭の悪い人にでもわかったと思われるようなことのなかに、何かしら不可思議な疑点を認めて追求していくことが求められる。この点で、科学者は頭の悪い人よりももっとのみ込みの悪い人間でなければならない、という。

 頭のいい人には次のような特徴が見られると述べている。

○ 頭のいい人は富士のすそ野まで来て、
  そこから頂上をながめただけで富士の全体をのみ込んで引き返す。
○ 頭のいい人には恋ができない。
○ 頭のいい人は批評家に適するが行為の人にはなりにくい。
○ 頭がよくて、そうして自分を頭がいいと思い、
  利口だと思う人は先生にはなれても科学者にはなれない。

 頭のいい生徒は、自分に都合の悪いことは避けてあらかじめ失敗を回避する。決して冒険はしない。骨の折れることには手を出さない。卒業後、クラス会の幹事をするのは活力にあふれていた生徒だ。人生の旅路で宝物を拾うのはどちらだろう。

(『生徒に贈る夢と希望がふくらむ150の言葉』佐藤允彦著/学事出版より)


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