子どもをやる気にさせる話

子どもがやる気を出すとき、その意欲の源となるのは夢と希望です。「あんなふうになりたい」「こんなことをやってみたい」という夢みる力と、「ボクにもできる」「ワタシだってやれる」という希望を子どもたちにどう与えるか。
そのヒントがギュッとつまった話をご紹介します。

<ご利用にあたって>
以下の文章を通信に引用される場合は、文末にある出典(書名・著者名・出版社名)を明記して下さい。


対象学級通信・学年だより

志を持つんだよ。志には学歴は必要ないんだよ。みんなに好かれる人になるんだよ。

三国清三(料理人)の母

 三国さんは1954年に北海道に生まれ、15歳で料理人を志し、その後、札幌グランドホテルや帝国ホテルで修行して力をつけた。帝国ホテルで日本一のシェフといわれた村上料理長に薦められてスイス日本大使館の料理長に就任したのは、20歳の時だった。この時、実は三国さんは正社員になれないで悩んでいた時期でもあった。村上シェフに十年間辛抱しろと言われて頑張った結果、帰国して30歳の時、東京の四谷に自分の店を開くことができた。

 三国さんの少年時代は貧しかった。半農半漁の家に生まれた三国さんは父親と漁に出たり、母親と農作業をしたりして過ごし、中学校を卒業してすぐ札幌に出た。その時、母親が言った言葉が表題の言葉である。

 高校に行けない三国さんの悔しい気持ちを察して母親は、毎晩のように言い聞かせたという。札幌で夜間調理学校に通い、昼は米屋で働いて頑張った。札幌グランドホテルでは人に好かれるように懸命に働いた結果、正社員になれた。

(中略)

 人生はよく「出会い」だというが、三国さんは子どもの頃に海のパイナップルといわれる「ホヤ」に出合って「ホヤ」の味を知ったのが、料理人になる原点になったという。今、三国さんは日本中の子どもたちに日本人だけが表現できる「旨味(うまみ)」を伝え、味に対する感性を養いたいと抱負を語って食育活動を進めている。

(『生徒に贈る夢と希望がふくらむ150の言葉』佐藤允彦著/学事出版より)


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