担任から子どもたちへのメッセージ

公立中学校教師歴35年、学級担任歴27年の経験をもち、1960年から学級通信を出し続けてきた山田暁生さんによる「通信で伝える希望のメッセージ」。子どもたちが「自分の居場所」を確認でき、「自分への期待感」がわき上がり、「未来への希望」がもてるようなメッセージの数々は、実体験の深みがあり、子どもたちへのプレゼントのような温かみがあります。通信やお知らせの囲み記事、空きスペースを有効活用するために使えます。

<ご利用にあたって>
以下の文章を通信に引用される場合は、文末にある出典(書名・著者名・出版社名)を明記して下さい。


対象学級通信・学年だより・学校だより

原爆詩集 序

峠 三吉

 今年も夏がやって来ました。日本の夏と言えば、七〇年前に経験した大きな戦争のことを忘れるわけにはいきません。その戦争が終わる前に、広島と長崎に原爆が落とされました。人類の中で原爆が落とされたのは、この二つの街だけです。広島の原爆ドームのすぐわきに、石碑があります。その石には、詩が刻まれています。こんな言葉で。

   ちちをかえせ ははをかえせ
   としよりをかえせ
   こどもをかえせ

   わたしをかえせ わたしにつながる
   にんげんをかえせ

   にんげんの にんげんのよのあるかぎり
   くずれぬへいわを
   へいわをかえせ

 これは、峠三吉という人の「原爆詩集」という詩集の一番初めのページに書かれた言葉なのです。この作者自身も、爆心地から三キロほどの自宅で被爆してしまいました。
   へいわをかえせ
 重い言葉です。何も悪いことをしていないのに、普通に暮らしていた暮らしが一瞬にしてなくなってしまったのです。怒りのぶつけようもありません。だから、その怒りを、詩の言葉として、精一杯表したのでしょう。この詩は、平和を願う人の合言葉のようになりました。
 この詩の言葉と共に、平和の大切さをよく考えていけたらと思います。

(『子どもたちに詩の心を伝える講話』小金澤豊著/学事出版より)


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