担任から子どもたちへのメッセージ

公立中学校教師歴35年、学級担任歴27年の経験をもち、1960年から学級通信を出し続けてきた山田暁生さんによる「通信で伝える希望のメッセージ」。子どもたちが「自分の居場所」を確認でき、「自分への期待感」がわき上がり、「未来への希望」がもてるようなメッセージの数々は、実体験の深みがあり、子どもたちへのプレゼントのような温かみがあります。通信やお知らせの囲み記事、空きスペースを有効活用するために使えます。

<ご利用にあたって>
以下の文章を通信に引用される場合は、文末にある出典(書名・著者名・出版社名)を明記して下さい。


対象学級通信・学年だより

母という字を書いてごらんなさい

サトウハチロー

「母」という漢字は、小学2年で学習します。この漢字の筆順は、もうわかっていますよね。さて、よく考えてみると、私たちの身のまわりには、母という字がつく言葉が多いですね。「必要は発明の母」「母なる大地」などと、みなさんも、耳にしたことがあるでしょう。
 今日は、この゛母」という漢字を表現した「母という字を書いてごらんなさい」という題名の詩を紹介しましょう。

母という字を書いてごらんなさい
やさしいように見えて むづかしい字です
恰好(かっこう)のとれない字です
やせすぎたり 太りすぎたり ゆがんだり
泣きくずれたり…笑ってしまったり
お母さんにはないしょですが ほんとうです

 この詩を書いたのはサトウハチローという人です。この詩人には『おかあさん』という詩集もあります。いったい、この漢字のどういうところが「やさしいように見えて むづかしい」のでしょうか。「やせすぎたり 太りすぎたり ゆがんだり 泣きくずれたり…笑ってしまったり」というのは漢字のことを言っているのでしょうか。どうやら、おかあさんそのものを表しているように思えてきませんか。みなさんが、今こうして立派に大きく成長するまでには、親として、からだが細くなるような心配や苦労をしたこともあったでしょう。
 みなさんの頑張りや成長を実感したときには、はじけるような笑顔が見られたことでしょう。そんな思いを一身に受けて、ここにみなさんがいるのです。
 今月は、母の日がやってきますね。この機会に、あらためて「母」という字を書いて手渡してみてはいかがですか。そこに一言、みなさんの気持ちを表現した言葉を添えながら…。

(『子どもたちに詩の心を伝える講話』小金澤豊著/学事出版より)


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