担任から子どもたちへのメッセージ

公立中学校教師歴35年、学級担任歴27年の経験をもち、1960年から学級通信を出し続けてきた山田暁生さんによる「通信で伝える希望のメッセージ」。子どもたちが「自分の居場所」を確認でき、「自分への期待感」がわき上がり、「未来への希望」がもてるようなメッセージの数々は、実体験の深みがあり、子どもたちへのプレゼントのような温かみがあります。通信やお知らせの囲み記事、空きスペースを有効活用するために使えます。

<ご利用にあたって>
以下の文章を通信に引用される場合は、文末にある出典(書名・著者名・出版社名)を明記して下さい。


対象学級通信・学年だより・進路通信

つねに活路あり

ある雑誌を読んでいたら、「つねに活路あり」という言葉にぶつかった。「そうだ! そうだよ! そのとおり!」と私は思った。本を読んだり人の話を聞いていると、そのように思う言葉にぶつかることがたびたびある。その人の言葉と、かつて自分が体験したこととがぴったり合って、「それだ!」と、つい手を打ってしまったりすることがある。
「つねに活路あり」という言葉は私にとって、まさにハートのど真ん中にストンとはまり込んできた言葉だった。

さて、「つねに活路あり」とはどういうことなのだろうか。活路の意味を辞書で調べてみたら、「命の助かるみち。窮地からのがれるみち、方法」と書いてあった。
つまり、万事休す。もうダメだ、もう逃げられない、もう何ともできないと思うようなときでも、希望を捨てず、頑張ってみなさい ----- そうすると、きっとそこからきみが抜け出せる道があるものだよ! ということなんだね。

思いつめ、考えつめ、悩みぬいて、結局、自殺の道を選んでしまう人がいる。絶望の淵に沈んでしまい、自分の未来の可能性をすべてつぶしてしまう人がいる。生きて、元気でいればまだまだできることはいろいろあるのに、「何をやったってもうダメだ」とやってもみないうちからあきらめ、死を選んでしまう。(中略)

これは本当にもったいないことだ。きみの一生はきみだけの財産ではない。生きている人たちみんなの財産なのだ。きみがすること、できることはきみだけに影響を与えるのではない。周囲のいろんな人に力をおよぼしていくのだということを自覚してほしい。

だから、きみの力を自分だけのものと考えず、みんなの共有財産として考えてほしいのだ。

「いや、ぼくなんか、そんな大きな力なんかないよ」と反論してきそうだが、「いや決してそうじゃない。きみの力が社会のどこかで役立っているはずだ。とにかく元気を出して頑張ってみてほしい」と私はいいたいのである。

(『希望と勇気をもって生きぬく40のいい話』山田暁生著/学事出版より)


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