担任から子どもたちへのメッセージ

公立中学校教師歴35年、学級担任歴27年の経験をもち、1960年から学級通信を出し続けてきた山田暁生さんによる「通信で伝える希望のメッセージ」。子どもたちが「自分の居場所」を確認でき、「自分への期待感」がわき上がり、「未来への希望」がもてるようなメッセージの数々は、実体験の深みがあり、子どもたちへのプレゼントのような温かみがあります。通信やお知らせの囲み記事、空きスペースを有効活用するために使えます。

<ご利用にあたって>
以下の文章を通信に引用される場合は、文末にある出典(書名・著者名・出版社名)を明記して下さい。


対象学級通信・学年だより

「ちょっと難しい」は肯定? 否定?

 以前、日本に住む外国人に日本語のあいまいさについて尋ねたことがあります。多くの人が挙げたのが、「ちょっと」「まあ」「一応」「かなり」「ほぼ」「とりあえず」「そのうち」などの言葉です。「どうも」や「結構です」も、肯定なのか否定なのか判断がつかないことがたびたびあるという答えでした。

 ある中国人留学生の話です。大学で奨学金の申請をしたいと相談したところ、教授から「ちょっと難しいですね」と言われました。その学生は「多少の困難」はあるけれど可能性もあると解釈したのですが、最初からだめだったというのです。先生の気遣いはありがたいけれど、はっきり断ってくれた方が納得できるという話でした。

 日本人同士ならあいまいな表現でも察しはつきます。しかし、文化や習慣が異なる国の人にとっては、肯定なのか否定なのかが明確でないと支障をきたすことにもなりかねません。これは外国人に限らず日本語を母語とする者同士でも同じことです。

(『先生のためのことばセミナー』加藤昌男著/学事出版より)


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