担任から子どもたちへのメッセージ

公立中学校教師歴35年、学級担任歴27年の経験をもち、1960年から学級通信を出し続けてきた山田暁生さんによる「通信で伝える希望のメッセージ」。子どもたちが「自分の居場所」を確認でき、「自分への期待感」がわき上がり、「未来への希望」がもてるようなメッセージの数々は、実体験の深みがあり、子どもたちへのプレゼントのような温かみがあります。通信やお知らせの囲み記事、空きスペースを有効活用するために使えます。

<ご利用にあたって>
以下の文章を通信に引用される場合は、文末にある出典(書名・著者名・出版社名)を明記して下さい。


対象 学級通信・学年だより・進路通信

やってごらんよ

食わずぎらいって言葉、知ってる?
「私、大きらいなのあれ。よくあんなもの好きな人がいるなあと思うよ」
「ところで、あんた、それ食べたことがあるの?」
「ん、ないけど。みるからにまずそうじゃない。食べた人に聞いたことあるけど、その人もやっぱりいやだったって。だから、きらいなの」
(中略)
そういえば、私は進学のために東京に出てきたころ、あのねばねばした納豆がとても気味悪く、何がよくてこんな豆の腐ったようなものをみんな買ってまでして食べているんだろうと思っていた。ところが、何回か食べているうちに大好物になってしまった。こんなふうに、「自分をこうだ」と思い込んでいたことと、行動を起こしてからでは変わってくるものなのである。

きみの可能性だってそうだ。やる前にはこれっぽっちの力しかないと思い込んでいたことが、二度三度とチャレンジしているうちに少しずつ力も増し、「ホッ。自分にはこんな力もあったのか」と、今まで気づかなかった力を感知するようになってくるものだ。

誰かがきみに「やってみたら?」とか「やってごらんよ」とすすめてくれたとする。その時、「いやいや、とんでもない。私なんかそんなことできるはずないよ。そんな力なんかないもん」と引き下がらないで、「失敗したらごめんね。許してね。精一杯やってみるから」と、できないかもしれないという不安感があっても、「できる!」と信じ、運を天にまかせて、「神さま、仏さま、どうかできるようにお願いします。エイッ!」とチャレンジしてみるのである。

「アッ! できちゃった!」「でしょ。だからやってみなさいっていったのよ」ということがあるのである。小さな可能性はそれよりももう少し大きな可能性を引き出す糸口だ。もうひと回り大きな事にチャレンジしてみる。「アッ!またできたぞ」…こうして、きみの可能性は徐々に大きくなっていき、下向きかげんの顔も正面を向くようになり、大空を明るい表情で眺めながらかっ歩できるようになるのである。もうそうなったらきみは自信という着物をしっかり着られるようになる。

「やってごらんよ」とすすめられた一言の中にも、そういうきみの未来の可能性をきり開く鍵がかくされているのだ。
「私なんか・・・」と引き下がったり、逃げたりしないで、「やってごらんよ」ときっかけを与えられたら、「おう、やってみようか」と一歩前に出てほしい。

(『希望と勇気をもって生きぬく40のいい話』山田暁生著/学事出版より)


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