担任から子どもたちへのメッセージ

公立中学校教師歴35年、学級担任歴27年の経験をもち、1960年から学級通信を出し続けてきた山田暁生さんによる「通信で伝える希望のメッセージ」。子どもたちが「自分の居場所」を確認でき、「自分への期待感」がわき上がり、「未来への希望」がもてるようなメッセージの数々は、実体験の深みがあり、子どもたちへのプレゼントのような温かみがあります。通信やお知らせの囲み記事、空きスペースを有効活用するために使えます。

<ご利用にあたって>
以下の文章を通信に引用される場合は、文末にある出典(書名・著者名・出版社名)を明記して下さい。


対象 学級通信・学年だより・進路通信

みんなまっすぐここまで来たの?

以前にいた学校のPTAに進路対策委員会というのがあって、お父さん・お母さん方がわが子の進路をどう導いたらよいか学んだり、手をつないでわが子たちの進路が少しでも開けるようにと運動したりしていた。その進路対策委員会で、子どもたちが進路学習をする時の助けになるような資料を親の手で作ってみようということになり、保護者の皆さんに資料提供していただいた。

その時のアンケート項目のひとつに、「子ども時代から現在まで、進路選択にどんな変化がありましたか」というのがあった。予想外に多くの保護者の方々が答えてくれた。そのいくつかの例をここに紹介してみよう。

【1】

アナウンサー→OL→銀行員

【2】 作家→ピアニスト→教師
【3】 先生→洋裁師→事務員→文科系職業
【4】 看護師→スチュワーデス→英語を生かした職業
【5】 先生→外交官→放送局→司書→録音図書制作
【6】 スチュワーデス→英語教師→女性登山家
【7】 旅行家→新聞記者→研究者→薬剤師→心理学の研究者→カウンセラー →
  小学校教師→退職→心理検査・職業適性検査をする会社
【8】 画家→機関士→漁業技術者→エレクトロニクス技術者
【9】 商人→外交官→法律家→電気技師→公務員
【10】 自動車の運転手→野球の選手→トランペット奏者
【11】 警官→声楽家→技術者
【12】 小学校の教師→中学校の英語教師→洋裁の指導教師→手作りケーキ屋
【13】 船員→哲学者→新聞記者→洋書会社

まあ、ざっとこんなふうに、一人ひとりの進路選択を見ても、じつにジグザグ道なのだ。本人が成長するにしたがって、自分の興味や関心の持ち方もちがってくる。境遇にも変化があったり、自分にとってできそうなこと、少し無理だと思うことなど、自分の可能性がやや見えてくると志望する方向にも変化が出てきたりする。(中略)

今、まっすぐに進んできたように見える大人たちも、ほとんどみんなといっていいほど、まっすぐには進んできていないんだよ。だから、きみもまっすぐに早く進めないからといって落後感を持ったり、みんなから置いていかれ、落ちこぼれになってしまったように思い込むことはない。

これが自分の歩み方なんだ。これも長い一生のうちではいい経験だ。このペースが一番自分に合っているんだと思えばよい。そう考えれば心も落ち着き、直面した課題にきみなりの力を十分ぶつけることができる。(中略)

きみの一生はまず第一にきみ自身のためのものなんだと自分にいい聞かせてほしい。そのことを忘れずに、自分の道をしっかり見つめ、着実な一歩一歩を重ねていってほしいものだね。

(『希望と勇気をもって生きぬく40のいい話』山田暁生著/学事出版より)


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