担任から子どもたちへのメッセージ

公立中学校教師歴35年、学級担任歴27年の経験をもち、1960年から学級通信を出し続けてきた山田暁生さんによる「通信で伝える希望のメッセージ」。子どもたちが「自分の居場所」を確認でき、「自分への期待感」がわき上がり、「未来への希望」がもてるようなメッセージの数々は、実体験の深みがあり、子どもたちへのプレゼントのような温かみがあります。通信やお知らせの囲み記事、空きスペースを有効活用するために使えます。

<ご利用にあたって>
以下の文章を通信に引用される場合は、文末にある出典(書名・著者名・出版社名)を明記して下さい。


対象学級通信・学年だより・学校だより

スーッと大人にならないほうがいい

 世の中には何の苦労もなく、幸せに子ども時代を過ごし、思春期にこれといった抵抗もなく、大人になってからも経済的にも恵まれ、いい人たちに取り囲まれて、思いどおりに過ごし、一生を終えるという人もいる。しかし、そういう人は何万人にひとりいるかいないかで、たいていの人は山あり谷ありの人生を送るのだ。

(中略)

 苦労した人は人の苦労もよくわかる人になれると、私も母からよくいわれていた。
 “身にしみる”という言葉があるが、喜びにしても悲しみにしても、そして苦しみにしても、自分が体験した人は、そのときの思いがハートにしみ込み、決して忘れることがない。だから、他の人が同じようなことで苦しんでいるとき、自分の痛みとして受けとめることもできる。喜びや悲しみを共有できるということは、よりよい人間関係を築き上げていくうえでとても大事なことだし、それが結局は自分の幸せに返ってくるのではないだろうか。

 そういう意味で、何事もなく、単調に、すんなりと大人にならないほうがいい。あっちにつっかえ、こっちにつかえ、落っこちたり、ジャンプしたり、前を向いたり後ろを向いたりと、四方八方に体験の場を求め、いろんなことに遭遇したほうがいい。そのほうが幅と深見のあるいい大人になれるんじゃないだろうか。

 苦しいときには苦しみぬいて自分をドン底まで引き落としてしまうのではなく、この苦しみをいつか生かそうと思って乗り越えてほしい。苦しさを味わった人は喜びも楽しみも人一倍味わえるにちがいない。そう思いながら頑張りぬいていってほしい。

(『希望と勇気をもって生きぬく40のいい話』山田暁生著/学事出版より)


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