はがき新聞の基礎知識

(3) 初めての指導でも成功する秘訣(2015年6月公開)

はがき新聞による教育活動

 平成20年に告示された新学習指導要領の総則では以下のような点が強調されています。

  • ① 基礎的・基本的な知識、技能の習得
  • ② これらを活用し、課題解決に必要な思考力、判断力、表現力の育成
  • ③ 主体的に学習に取り組む意欲と学習習慣の確立
  • ④ 言語活動を充実する

 これら4点をはがき新聞づくりに当てはめて考えてみましょう。 

 国語の授業で覚える漢字や言葉を組み合わせて文章を書くことは、まさに①の基本的な知識や技能の習得に当てはまります。

 レイアウトを決め、限られた文字数で、読んでほしい相手を意識しながら、情報を選び、自分の考えや意見をまとめて書くという活動は②の思考力、判断力、表現力の育成につながるといえるでしょう。

 また、はがき新聞づくりはお礼、自己紹介、体験についてなど場面設定が明確ですので、子どもたちが主体的に取り組みやすく、③の学習意欲や学習習慣の確立に直結します。

 さらに、出来上がったはがき新聞を送ったり、口頭発表や掲示により友達の作品にコメントし合ったりという活動は④の言語活動の充実に該当します。

 つまり、はがき新聞を取り入れた教育は①~④をすべて含んだ学習活動になるということです。

必ず成功する秘訣

  • 1. 子どもたちの意欲を引き出す

    はがき新聞の大きな特徴は小さいことです。はがき大の原稿用紙に見出しをつけて記事を書けば、あっという間に仕上がります。実際、はがき新聞の原稿用紙を初めて見たとき、子どもたちは「これならできる!」と思うことが多いようです。その気持ちを大切にすることがはがき新聞づくりの指導の第一歩。イラストを描いたり、写真を貼り付けるなどの楽しい作業によって、子どもたちの意欲を引き出しましょう。
     もちろん、実際には難しい面もあります。限られた紙面に自分の書きたいことをまとめて書く作業、つまり長い文章や自分の考えの中から伝えたいことだけを言葉を選んで記事にする要約力、表現力、読解力が問われます。こうした力を伸ばすためにも最初に抱いた学習意欲を大切にしたいものです。

  • 2. 準備をしっかり行う

    はがき新聞づくりに取り組むにはどんな準備が必要でしょうか。次の点に留意してください。

    ①だれに送るか
     手紙は特定の1人を読者とし、新聞は複数を対象としています。その中間にあるはがき新聞は新聞より相手意識が強いといえるでしょう。記事の内容は読んでほしい読者によって決まってきます。だれに送るのか、だれに読んでもらうのかを事前にはっきりさせることで相手意識が強まり、子どもの意欲は向上します。

    ②何を記事にするか
     職場体験や校外学習でお世話になった方へのお礼として、学習発表や運動会などの学校行事への招待状として、新年度のスタートにおける自己紹介としてなど、はがき新聞の活用法は自由です。たとえば、お礼の言葉とともに、学校で取り組んでいることなど近況を記事に掲載すれば、コミュニケーション能力が身につきます。

    ③準備するもの
     はがき はがきサイズの原稿用紙 鉛筆 色鉛筆 水性ペン 定規 写真など

はがき新聞を作成する上でのポイント

子どもたちがはがき新聞づくりをスムーズに進め、より魅力的なはがき新聞を作成するうえで押さえるべきポイントとして、以下のようなことが挙げられます。

  • ①記事を決める

    ・最も印象に残った活動、最も伝えたいことを記事にする。

    ・強く印象に残ることの中から、新聞に載せたい絵や写真を決める。

    ・だれに、どんなことを伝えたいか、じっくり考える。

  • ②わくをつくる

    ・はがきの一番外に、力強く、太く、はっきりした色で線を引く。

    ・蛍光ペンは色があせるので、さける。

  • ③記事の数だけ区切りをつける

    ・線で区切っても、絵や写真を利用して区切ってもよい。

    ・囲み欄をつくると、紙面に変化が生まれる。

  • ④題字(新聞名)を書く

    ・わかりやすく、短く。4文字程度が目安。

    ・太目に、飾り文字で工夫する。

    ・発行者(学年、組、名前)を必ず書く。

  • ⑤見出しを入れる

    ・トップ記事に一番伝えたいことを書く。

  • ⑥カット、写真の位置を決める

    ・記事の一つはイラストや写真中心でもよい。

    ・カットやイラストの位置をあらかじめ決める。

  • ⑦記事を書く

    ・だれに何を伝えるか、一番伝えたいことは何かなど書く内容をまず決める。

    ・どこに、どの記事を入れるか決める。

    ・できる限り、いつ、どこで、何が、どうして、どうなったか(5W1H)が伝わるように書きたいが、
      文章が短いので、この原則に縛られる必要はない。

    ・児童の場合、楽しい気持ち、うれしい気持ちなどをおしゃべりするように書く。

  • ⑧色付けの工夫をする

    ・題字、見出しははっきり、大きく。

    ・色付けの道具は自由。ただし、蛍光ペンは印刷の関係で使えない。

    ・色鉛筆は力強く、濃く塗ると、光沢がきれいになる。ゆっくり、やさしく塗ると、柔らかい色になる。
      折り紙、和紙、広告の紙、模様紙など、紙を工夫してもよい。

    ・色のバランスを考える。

  • ⑨仕上げをていねいに

    ・文字に影や模様をつけ、変化を持たせる。

    ・表現や表記の点検、修正をする。

見本レイアウト

見本レイアウト
  • 題字

    題字は太くはっきりと。背景にうすく色や絵を入れるのもよい

  • トップ記事

    最も伝えたいことを記事にする。大見出しを付ける。

  • セカンド記事

    イラストに合った見出しを付ける。印象に残ったことに関する写真や絵、絵解き(短い説明)を付ける。

  • サード記事

    トップ記事より小さな見出しを付ける。縦書きだけでなく横書きにしても紙面にメリハリが出る。横書きのときは、マス目を無視して書くと記事を読みやすい。

(4) 実例で学ぶ はがき新聞づくりに続く

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