(19)はがき新聞の成果と課題 ~アンケート調査から~ Part1
はがき新聞導入の狙い
(2016年10月公開)p>
2011年度に、はがき新聞を実践している学校の先生方を対象にアンケート調査を実施しました。ちなみに有効回答数は76、回収率は30.4%。調査の結果から、はがき新聞を取り入れた狙いや具体的な成果、今後の課題が見えてきました。今回は、はがき新聞を取り入れた狙いについて調査の結果から探ります。
(1)回答者の属性
回答者の性別、年齢は表1に明らかなように、女性が多くを占めています。年齢層は30歳代、40歳代が中心です。
男 | 女 | 合計 | |
20歳代 | 4 | 10 | 14 |
30歳代 | 7 | 15 | 22 |
40歳代 | 4 | 16 | 20 |
50歳代 | 3 | 14 | 17 |
不明 | 0 | 3 | 3 |
合計 度数 | 18 | 58 | 76 |
(2)はがき新聞導入のきっかけ(複数回答)
最も多いのは「他の教師に薦められて」。次いで「他の教師が取り入れているのを見て」。他の教師の影響の大きさや教師間の連携がわかります。
① 他の教師が取り入れているのを見て | 22 | 28.9% |
② 他の教師に薦められて | 40 | 52.6% |
③ 「はがき新聞」の研修会等に参加して | 6 | 7.9% |
④ その他の研修会に参加して | 6 | 7.9% |
⑤ 理想教育財団刊行のパンフレットを見て | 6 | 7.9% |
⑥ 理想教育財団のホームページを見て | 3 | 3.9% |
⑦ その他 | 7 | 9.2% |
合計 | 90 | 118.4% |
(3)はがき新聞を取り入れている授業(複数回答)
どのような授業で取り入れているかについては「教科の指導」が多く、実に7割以上の先生が回答しています(表3)。さらに教科の内訳を見ると、国語が圧倒的に多く、社会、生活の順で続いています(表4)。
また、表にはありませんが、取り入れた期間は、1カ月間(28.8%)、1週間(21.9%)、2週間(13.7%)と、比較的短い期間で取り入れているようです。枚数については1枚(52.5%)、2枚(17.5%)、3枚(11.3%)となっています。
度数 | パーセント | ケースの パーセント |
|
① 各教科 | 55 | 50.9% | 73.3% |
② 総合的な学習の時間 | 30 | 27.8% | 40.0% |
③ 特別活動 | 14 | 13.0% | 18.7% |
④ ①、②、③以外の指導で | 9 | 8.3% | 12.0% |
合計 | 108 | 100.0% | 144.0% |
国語 | 社会 | 算数 | 理科 | 生活 | 音楽 | 図工 | |
度数 | 37 | 17 | 4 | 6 | 13 | 1 | 3 |
(4)はがき新聞導入の狙い(複数回答)
授業にはがき新聞を取り入れた狙いについては「出来事や自分の思いを絵や文章で他の人に伝える力を育てる」が約8割と最も多く、「自分の考えを短く、わかりやすくまとめる力を育てる」が約6割という回答でした。まとめる、伝えるというはがき新聞ならではの特徴を活かそうという姿勢がうかがえます。
度数 | パーセント | ケースの パーセント |
|
① 文章を書く力を育てる | 17 | 12.5% | 23.0% |
② 文字を正しく丁寧に書く力を育てる | 13 | 9.6% | 17.6% |
③ 自分の考えを短く、解りやすくまとめる力を育てる | 45 | 33.1% | 60.8% |
④ 出来事や自分の思いを絵や文章で他の人に伝える力を育てる | 59 | 43.4% | 79.7% |
⑤ その他 | 2 | 1.5% | 2.7% |
合計 | 136 | 100.0% | 183.8% |
(5)当初の狙い以外の効果
当初の狙い以外の成果があったか否かという問いに対しては「ある」という回答が8割近くを占め、実際に授業に取り入れたことで予想以上の成果が上がったことがわかります。
「ある」と回答したケースの具体的な内容(自由記述)も、「子どもの関心、意欲、態度を高めることができた」、「子ども同士の交流が深まった」、「楽しく取り組めた」などさまざまでした。
度数 | 有効パーセント | |
① ある | 57 | 79.2% |
② ない | 15 | 20.8% |
合計 度数 | 72 | 100.0% |
(6)指導する際に何を参考にしたか(複数回答)
指導時の参考にしたものとして最も多いのが「身近にいる他の教師の指導法」で、半数弱の47.9%となっています。身近な教師の存在がいかに大きいものであるかがわかります。「手引き書を使った」は26%ですが、その手引き書は財団発行の冊子や実践事例集であることがほとんどでした。
度数 | パーセント | ケースの パーセント |
|
① 手引き書を使った | 19 | 22.4% | 26.0% |
② 身近にいる他の教師の指導法を参考にした | 35 | 41.2% | 47.9% |
③ 自分で工夫した | 23 | 27.1% | 31.5% |
④ その他 | 8 | 9.4% | 11.0% |
合計 | 85 | 100.0% | 116.4% |
(20)はがき新聞の成果と課題 ~アンケート調査から~ Part2 はがき新聞導入の成果 に続く
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