(2) はがき新聞づくりの指導と教育効果(2015年5月公開)
より効果的な指導法
第1回で述べたようなはがき新聞の特性を生かし、学習活動を効果的に展開していくためには次のような点に留意してください。
新聞の名前を付けることは、新聞を継続的に発行していくのだという意思表明でもあります。1号限りの新聞を否定するわけではありませんが、可能であれば、自分らしい新聞名を付け、1年間に2~3号は発行したいところです。単発の内容については「図書館紹介特集号」、「職場体験特集号」など「特集号」として発行してもよいでしょう。
互いに独立した記事が複数並び、どの記事からも読み始められるのが新聞の特徴です。はがき新聞にも2つか3つの記事を入れてください。例えば、ニュース的な記事のそばに自己紹介のコーナーを入れるなど、全く異なる記事を配置しても構いません。
これこそが普通の手紙との決定的な表現形式の違いです。一つ一つの記事に必ず見出しを付けましょう。「簡にして要を得た、魅力的な見出し」を工夫することは要約力の養成につながります。低・中学年では見出しの位置をあらかじめ指定してもよいでしょう。
はがき新聞のスペースは限られています。一番大切な情報、一番自分が言いたいことを書くようにしてください。ニュース記事ではしばしば5W1H(いつ、どこで、だれが、なんのために、何を、どのように)が問われますが、この原則にとらわれる必要はありません。
カラー化ははがき新聞の必要条件ではありません。しかし、はがきは小さなキャンバスでもあります。これをどうレイアウトし、色彩を施すかは総合的な創作活動。「見た目が美しく、書く人も読む人も楽しめる」紙面に仕上げることは大切です。
発信対象者に郵送・手渡しするだけでなく、原寸大にコピーして掲示したりファイリングしたりして他の子どもたちも見られるようにすれば、相互交流・相互評価・相互学習ができます。印刷して文集をつくることも可能です。自分の作品をポートフォリオ的に保存すれば、学習成果を確認する役割も果たします。ぜひ専用のファイルを用意しましょう。
はがきとは言え、慣れないとレイアウトの作業はたいへんです。そこで理想教育財団の専用「はがき新聞用原稿用紙」を使用してみてください。子どもの発達段階、経験やレベルに合わせて複数の様式から選べます。もちろん、市販の官製はがきに直接書いても、専用の原稿用紙を貼り付けても構いません。
はがき新聞の発表会や展示会を行い、口頭で感想を述べ合ったり、感想用紙などで評価し合うことも有効です。あるいは、はがき新聞を受け取った家族の方などの声をお聞きするのもよいでしょう。
はがき新聞を活用する場面
次に、はがき新聞を活用すべき場面や機会、方法について考えてみましょう。
一般に以下のようなケースが考えられます。
はがき新聞の教育効果
最後に、これまでに延べてきたこと整理する意味で、はがき新聞づくりを通して期待できる教育効果について箇条書きにまとめてみました。
なお、ここに挙げたのは、はがき新聞づくり固有の教育効果ではありません。同時に、はがき新聞をつくれば必ず得られる効果でもありません。指導者が子どもの発達段階や目的に合わせた指導を行い、現実に即して常に創意工夫を図ることが期待されます。
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