(7) 小学校の実践事例2:特別活動で継続的に活用する(2017年7月公開)
対象:小学校3年生(石川県小松市教育委員会 指導主事 北野 勝久 さん)
注)報告者の所属学校名は、レポート作成当時のもので、現在と違っている場合があります。
はがき新聞の利点を生かす
はがき新聞の使い勝手の良さは次のように専用の原稿用紙が数種類あることです。
こうした種類があるため、新聞を書くのが初めての3年生も、自分の好みや能力に応じて原稿用紙を選択でき、自然に新聞の仕組みを学べました。
なかでも最大の特徴はスペースが決まっていて、文字数が限られていること。文章が苦手な子どもも抵抗感なく取り組めます。逆に文章が得意な子どもは自分の伝えたいことをまとめる要約力がつきます。
教師が見本を作って指導する
書作り方がわからない子どものために、まず教師が数枚の見本を作りました。それをもとに「題名(新聞名)」と「自分の名前」を書く場所を指定。次に「見出し」について説明し、「はがき新聞」で一番伝えたいことを短い言葉にするように指導しました。
さらに気をつけるべき点として以下のようなことを挙げました。
一人一人の創意工夫が広がる
最初は見本や友だちの作品をまねしながら書いていた子どもも徐々に自分の発想を広げていきました。それが顕著だったのが色づけです。イラストを描いたり、見出しに色を塗って目立たせたり、話の内容ごとに色を塗り分けたり……。レイアウトを考え、縦書きと横書きを組み合わせて目を引く工夫をするケースも見られました。
保護者にも配布する
当初は自分の決意を表す性格が強かったはがき新聞ですが、しだいに友だちを意識して文章を書くようになりました。
また、学級力プロジェクトの取り組みの一環として、はがき新聞を学級通信にも載せました。学級全体で伸ばしたい力、個人で伸ばしたい力を保護者に知らせることにより、学級が目指すものを理解してもらい、個人の目標については家庭でも声をかけてもらうことができました。
継続するから効果が得られる
9月以降はスマイルタイム後に、はがき新聞作成の時間を設けました。繰り返し書くことにより、自分の思いを短時間に短くまとめることが可能になり、表現力、文章力は確実に増しました。
また、目標を書くことで学級をよくするために自分はどうすべきかを考えるようにもなりました。前回までの新聞を読めば、目標の達成度合いや自分の成長を確認することもでき、そこから次の目標も生まれます。
もちろん、すぐに子どもたちが変化するわけではありません。しかし、はがき新聞の作成を継続したことにより、自分の行動を振り返る力、目標を持つ力が養われたように感じます。それは自分の成長が学級力向上につながることを、子どもたち自身が肌で感じることにもなったはずです。
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