(14) いじめを乗り越えた学級力向上プロジェクト Part1
(2018年2月公開)
(大阪府豊中市立原田小学校 教頭 蛯谷 みさ さん)
注)報告者の所属学校名は、レポート作成当時のもので、現在と違っている場合があります。
これは教師と子どもたちが協力していじめの解決に向けて努力した記録です。国語科、道徳、総合的な学習、特別活動、さらに学校行事において、真摯に取り組みました。ここに紹介するはがき新聞には、いじめの克服に努めた子どもたちの熱意と達成感があふれています。
トラブルは突然やってくる
「いいクラスをつくろう!」
そんな願いを持ってスタートした新しい5年生の学級でしたが、夏休み明け早々、ある子どもの学用品がなくなるトラブルが発生しました。みんなで一緒に探すと、教室の隅や校内のふだん行かない場所でその日のうちに見つかりました。しかし、何度もこれが繰り返されたのです。しかも目撃情報がなく、教師や子どもたちの死角を巧妙についた行為でした。
隠した子は友だち関係で気にいらないことがあったのでしょうか。特定の子どもの学用品が奪われ、クラス全体を不安にさせました。誰が隠したかわからないため、次は自分かもしれないと怯えるのです。まるでクラスの和を崩壊させるような行為でした。
いじめは「うちのクラスに限ってあり得ない」ことではありません。いつでも、どこでも起こり得ます。大事なのは深刻ないじめにつながるのを事前に阻止することです。
「子どもたち自身にいじめを乗り越える力を育てよう」
そう心に誓いました。まさに学級担任にとっての正念場でした。
いじめ克服の手だて
子どもにとっても苦しい時期だったと思います。しかし、学級力の真価が問われるのはこういうときです。子どもたちと共に知恵と勇気を出し合い、一人一人を守り合える学級に再生するために、教科横断的にいじめを克服する手だてを講じました。
具体的な実践例を次に示します。なお、●は手だて、■は育成する力、■は育つ力。[ ]は対応する学級力の項目です。
【特別活動】スマイルタイム「スマイルの木を作ろう」
●学級力アンケートの結果をレーダーチャートで可視化し、成果と課題について話し合い、その結果を木の形に表して成長の足跡がわかるようにしました。黄色のカードには友達のいいところを、青色のカードには改善の手だてを貼っていきました。子どもたちはこれを「スマイルの木」と名付けました。
■課題発見力、問題解決力、話し合う力
■友だちの良いところを認め、課題解決のための実行案を生み出す力や、きちんとした言葉で話し合う力が育つ。
[目標・改善・認め合い]
【教科横断的な学習】国語「パネル討論・いじめをなくすには」
●国語科でパネル討論の基礎を学習した後、国語科活用学習として「いじめ」をテーマにパネル討論を行いました。
■問題解決のための多様な考え方を出し合うことで新たなものの見方を学んだり、合意形成をしたりする力
■いじめ問題の克服に向けて多様な視点から考え、パネラーとフロアの意見を総合して全員で問題を解決しようとする気運が高まる。いじめられた人、いじめる人それぞれの気持ちを想像し、理解が深まる。
[目標・改善・尊重]
(15) いじめを乗り越えた学級力向上プロジェクト Part2に続く
はがき新聞で始める学級力向上 バックナンバー