(10) 小学校の実践事例5:さまざまな人とつながるために(2017年10月公開)
対象:小学校6年生(兵庫県西脇市立重春小学校 教諭 竹本 晋也 さん)
注)報告者の所属学校名は、レポート作成当時のもので、現在と違っている場合があります。
友だちとつながる
クラスの友だちとの相互理解を深める上で、はがき新聞はとても有効です。たとえば、行事終了後、自分の努力や成長について書いたはがき新聞を送れば、クラスの中で互いの成長を喜んだり、思いを理解し合ったりする契機となります。ここに紹介するはがき新聞が良い例です。友だちのがんばりをほめることは、互いの良さを認め合う絶好の機会となります。
学級全員とつながる
たとえば、クラスのみんなに、スマイルタイムの黒板を見ながら、「こんな学級にしていこう!」「自分はそのためにこんな人を目指すから!」といった呼びかけや決意表明をはがき新聞に書くのです。これを教室に掲示し、互いの思いを共有できるようにもします。他のみんなががんばろうとしていることを理解できれば、「自分もがんばろう」という精神的なプラスのサイクルも生まれ、学級力の向上につながります。
家族とつながる
運動会を終えての成長報告、修学旅行を終えての成長報告など、学校での経験を家族に伝えます。学校での自分について報告することで自分の成長をほめてもらったり、家族に安心してもらったりする喜びがあります。実際に、単身赴任中のお父さんに宛てて報告する子どももいました。
家族に向けて自分の宣言を書くのもよいでしょう。新学期に向けて「こんな成長を遂げたい」、保護者も鑑賞する音楽会で「こんなところをがんばりたい」と決意表明するのです。
ここに紹介するのは「2学期中にこんな自分を目指す」という宣言を書いた新聞です。家族への宣言は自分への宣言でもあり、前向きな気持ちが高まります。親子で気持ちを新たにする機会や、家族の方に学級力向上プロジェクトを応援してもらう環境をつくることにもなります。
自分とつながる
高学年になれば、自己内対話をして、自分の気持ちや行動を明確に自覚することが大切になってきます。そこで、3学期のスタート時に、卒業前日の自分に宛てたはがき新聞を書かせました。
はがき新聞を書きながら、「卒業時にはこんな自分でありたい」「こんな気持ちになっていたい」と具体的に自分の姿や気持ちをイメージすることは、残された学校生活をどう過ごすべきかを考え、それを自分に言い聞かせることにつながります。
ここに取り上げたはがき新聞は、最後に自分自身への応援メッセージが書かれています。まさしく自分自身と対話しているのです。自分に宛ててはがき新聞を書くという活動は自分を創っていくことに他なりません。
書くことで自覚を促し、学級力を高める
はがき新聞に学級力向上プロジェクトの取り組みや、その成果である学級の成長、自己の成長を書くことは自分たちの取り組みを見直し、成長を客観的に分析することにつながります。書くことが自覚を促し、その自覚によってより良い活動が見えてくるはずです。そのような活動が学級力向上プロジェクトを活性化します。
また、プロジェクトに関わる行事や学活だけではなく、教科学習との連携を図ることも重要です。教科領域にはこだわらずに、はがき新聞の活用について年間の見通しを持つことも必要でしょう。国語科、算数科、総合的な学習などと連動させ、相手意識をもって文章を表現することを繰り返し行いたいものです。
子どもたち一人一人が学級経営に参画し、努力を重ねることが、クラスの全員が理想とする学級をつくることになるのです。
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