はがき新聞で始める学級力向上

(4) はがき新聞の効果(2017年4月公開)

自己マネジメント力を育てる

学級力向上プロジェクトは、「学級力アンケートによる学級力の自己評価」、「学級力レーダーチャートをもとに話し合うスマイルタイム」、「学級力向上のために子どもたちが主体的に取り組むスマイル・アクション」という3つの活動から成り立っています。
これを1年間のR-PDCAサイクルに沿って、意図的・計画的に実践する協同的な問題解決学習といえるでしょう。
 子どもたち自身の自律性を学級づくりに生かすことによって、子どもたちが目指す「よいクラス」が実現するだけでなく、その過程で、子どもたちが、自らが所属する組織を改善するために必要な「自己マネジメント力」を身につけることも可能です。
 自己マネジメント力とは、自己や組織が持つべき力を診断・計画・実施・評価・改善というR-PDCAサイクル(R=Research、P=Plan、D=Do、C=Check、A=Action)に沿って、自律的に身に付けるための能力。これを学校教育に当てはめれば、自己マネジメント力とは、子どもたちが教科学力、学級力、家庭学習力、道徳力、PISA型読解力、読書力などをR-PDCAサイクルに沿って自律的に身に付ける力となります。

※アンケート、レーダーチャートに関しての詳細は「(2) アンケートとレーダーチャート」をご覧ください。
※スマイル・アクションに関しての詳細は「(3) スマイルタイム」をご覧ください。

はがき新聞をスマイル・アクションに

学級力向上プロジェクトが固有のスマイル・アクションを定めていないのは、各学級で取り組む活動は個性的であってほしいから、そして、つねに生き生きしたアイデアが子どもたちや学級担任の教師の方から生まれることを期待しているからです。
 とはいえ、どんなクラスにも効果が期待できる標準的なスマイル・アクションもあります。
その代表例が、はがき新聞の作成です。
はがき新聞は、はがきサイズの用紙にミニ新聞形式で、子どもが自分の思いをつづる表現手段です。青色の罫線があらかじめ印刷されているため、きれいに書ける上、カラフルに彩色もできます。1時間もあれば、1枚のはがき新聞を完成させられるため、子どもたちの学習意欲を容易に高めることができます。

学級力向上の意識と自覚を高める

学習意欲だけでなく、学級力向上プロジェクトにおいて実践の意識と責任の自覚を高める上でも効果的です。子どもたちが書いたはがき新聞を教室に掲示すれば、学級力向上プロジェクトに対する連帯意識を高めます。
 実際に子どもたちが「学級力はがき新聞」に熱心に取り組んでいる様子を見ると、はがき新聞が子どもたちの活動に自然に溶け込んでいるのがわかります。それは授業時間内に完成できずに宿題になっても、ほとんどの子どもが嫌がるどころか、喜んでいるのを見ても明らかです。
 つまり、はがき新聞は教師にとっても子どもたちにとっても親しみやすい、気軽な表現ツールであると同時に、学級力向上プロジェクトの意識や自覚を高める効果的なスマイル・アクションになっているということです。
 次回からは、その具体例を紹介していくので、ぜひ、それらを参考に学級力を高めるはがき新聞づくりに取り組んでいただきたいと思います。

はがき新聞作例はがき新聞作例

参考文献
① 田中博之著『学級力が育つワークショップ学習のすすめ』金子書房、2010年
② 田中博之編著『学級力向上プロジェクト』金子書房、2013年
③ 田中博之編著『学級力向上プロジェクト2』金子書房、2014年

(5) 学級力をテーマにはがき新聞をつくるに続く

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