比べてみましょう《研修2》
ここに2つの学級通信(AとB)があります。AとBは,内容は同じです。
話題をしぼりやすくするために,タイトルと見出しだけにしてあります。読者は,本文を読む前にこれらを見るのですから,その気分になってタイトルや見出しの言葉を比べてください。
*それぞれの通信画像をクリックすると拡大されます。
Bのほうがはるかに読む気を誘い出しますね。魅力的なタイトルであり,魅力的な見出しだからです。
では,もう一度2つを比較して,タイトルや見出しが具体的にどのようにちがうのかを見つけてください。
じっくりと見比べてみましょう。
どんなちがいが見つかりましたか。
*相違点のバナーをクリックすると,相違点を確かめられます。
では,学級通信のタイトルや記事の見出しを付けるときには,どのようなことに気を付けるとよいのでしょうか。
思いのこもった親しみのあるタイトルを
「えがお」「スクラム」「みんな主人公」「ひびきあい」といった通信のタイトルからは,その先生の願っていることが垣間見えます。「名は志を表す」ということです。
「5の3だより」と「わくわく」とで,子どもや保護者に親近感をもって迎えられるのはどちらですか。
言うまでもありません。
この世に生まれたばかりの子,これから人生を歩み始める子にどんな名を付けようかとどの親も悩み考えます。同様に,学級通信のタイトルを付けるときには,これからの1年間,どんなことを大切にしてほしいのか,どんな学級にしていきたいのかということを考えます。
ですから,通信に名前を付けることは,4月の始めにどの教師も行うことと大きく重なります。重なるというより,誰もが行う仕事そのものが通信のタイトルとなるのです。入学式や始業式のあとの学級開きの教師の話のキーワードが学級通信のタイトルになります。あるいは,4月早々に子どもたちとともに考えた学級目標をさらに端的なものにした言葉が学級通信のタイトルとして位置付きます。
《裏ワザ》
(1)アイデアバンクを活用する
このホームページ内に,「通信タイトルアイデアバンク2018年版」があります。理想教育財団が実施した「学校における各種通信の実態と教育効果に関する調査研究」のアンケートで寄せられた数千に及ぶ通信タイトルを分類して紹介しています。参考資料として活用できます。
(2)子どもたちや保護者から募集する
通信のネーミングをアンケートなどで決めるというのもよい方法です。ただし,「こういう願いを表すタイトルにしてほしい」というように,ある程度制限を加えたほうがよいかもしれません。
ひと目で記事内容がわかる見出しを
通信を開いたとき,読者である子どもや保護者は,今日は何が書いてあるのかを最初に知りたくなります。
もし,その見出しが,「米づくりの第一歩である田植えをしました。もち米を植えました。秋の収穫が楽しみです。」のようにだらだらと書いてあったら,もうそれだけで疲れてしまいます。
これが「始まったぼくらの田んぼだ」とあれば,多くの人は読みたくなるはずです。
見出しだけでさまざまのことを伝えられます。インパクトをもって伝えることもできます。大きさによって記事内容の比重を見ることもできますし,見出しの言い回しから記事に込められた意図を表すこともできます。
「プリントコミュニケーションひろば」の過去の入賞作品から,素敵な見出しを拾い上げてみました。
「さまざまな見出し例」をご覧ください。
ぜひとも,試行錯誤しながら,学級通信の見出しの字句を少しひねってみましょう。会心の見出しができ,子どもや保護者の心にぴったり納まれば,それが学級の合い言葉のひとつとなるかもしれません。
《裏ワザ》
(1)記事から取り出し短くする
「○○を振り返って」「○○について」というように抽象的なテーマでなく,記事の内容,特に中心部分を見出しにする必要があります。次の手順を踏んで見出しを付けるとよいでしょう。
① 記事の中のもっとも大切な部分を意味がわかるように抜き出す。
② 書かなくてもよい言葉,重複する言葉を省いて短くする。
③ 主見出しと袖見出しに分けるべきか検討する。
④ 助詞や助動詞をできるだけ省略してみる。
⑤ 語呂をよくするために倒置法や体言止めなどの表現技法を工夫する。
⑦ 大げさすぎないか,記事内容とずれていないかを確かめる。
(2)一般新聞の見出しに学ぶ
毎朝目にする一般新聞の見出しをまねようと心掛けるのもよいでしょう。さすがプロだと思わせるだけの見出しが付いています。なかなかプロのようにはいきませんが,これこそ生きた教材です。