学級通信、学校だよりは「授業ではない」のでご注意を

新聞記事や漫画などを複製して、つい通信に掲載してしまうことがあります。
学級通信などを授業の延長と考えてしまうために起こる間違いだと考えられますが、これは著作権法に抵触します。
今回は「著作権法35条ガイドライン」のポイントをご紹介します。

■頭に入れておきたい「ガイドライン」

前回は、学校生活と著作権にかかわる著作権法35 条をご紹介し、授業の過程で行う複製が「許諾不要」とされるために、6要件が必要であることを述べました。6要件については前号を参照してください。
ここで重要なのは、平成16 年3 月に著作権の権利者団体が公表した「著作権法35 条ガイドライン」です。これは、著作物の利用者、特に文部科学省と細部の合意ができていない「権利者」サイドの主張ですので、これに反した場合、裁判上、常に「著作権法違反」とされるとは限りません。しかし、内容的に妥当な部分も多く含まれていますので、学校現場でこの「ガイドライン」を参酌することは、現在必須の事柄になっています。
「著作権法35条ガイドライン」は「社団法人日本新聞協会」のウェブサイトの「著作権に関する見解等」にアクセスすれば入手できます。要点のみを以下に記します。

■どの場合に許諾は必要ないか

  • 【要件1】「非営利の教育機関」

    文部科学省が教育機関として定めるところ、及びこれに準じるものとされ、国公私立の小学校、中学校、高等学校はすべて含まれます。私立の専門学校は、年間カリキュラムがあればこれに含まれます。

  • 【要件2】「授業をする者」「授業を受ける者」

    授業を担任する教師、講師など(教員免許等の資格の有無は問わない)の指導のもとで授業を受ける者。授業参観の参観者は含まれません。

  • 【要件3】「授業の過程」

    この中で注目すべきは、次のような場合は「授業」「授業の過程」に当たらないことです。

    • 学校の教育計画に基づかない自主的な活動(サークル、同好会、研究会など)。
    • 学級通信、学校だより等への掲載。
    • 学校ホームページへの掲載。

    これらの場合は、著作権者等の許諾を得なければなりません。

  • 【要件4】「公表された著作物」

    未公開の論文、作文、手紙、日記、美術、写真、音楽などは、著作権者等の許諾を得なければなりません。

  • 【要件5】「必要と認められる限度」

    複製が認められるのは、授業の対象となる必要最小限の部分に限られ、自分の「クラス」を越えることはできません。

  • 【要件6】「著作権者の利益を不当に害しない範囲」

    次のような複製は、著作者等の利益を不当に害すると考えられるので不可です。

    • 本来購入または借り受けて利用するはずのもの(その教室で使用されていない検定教科書、参考書、問題集、ドリル、ワークブック、楽譜、白地図、テストペーパーなど)

次回は「引用の範囲」について解説します。

*著作権等を詳しく知るための参考ホームページ・公益社団法人著作権情報センター http://www.cric.or.jp


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※助成品の複写・複製および、教育用途以外でのご使用は固くお断りいたします。