感動を伝える講話集

「子どもたちが楽しみにするような感動的な話をしよう」というコンセプトのもとに、小学校の校長が月曜朝礼で話した87の講話から精選。歳時記、伝記、童話、民話、感動的な出来事、スポーツ、映画、演劇と話材のジャンルは幅広く、「学校だより」や「学級だより」を通して保護者の心にも響く題材として活用できるものが満載です。 

<ご利用にあたって>
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心のとびら

みなさんは心にとびらがあることを知っていますか。
どんな人にも心にとびらがあるのですよ。しかもそのとびらには、とってがついていないのです。外から開けようとしても絶対に開かないとびらなんです。だから一度閉ざされると、外からどんな強い力で開けようとしても開かないのです。
たたいても怒鳴っても絶対にだめなのです。

人はどんなとき、固く心のとびらを閉ざしてしまうのでしょうか。それはお友達からいじめられたり、仲間はずれにされたりして、人が信じられなくなったときではないでしょうか。では、どうしたら心のとびらは開くのでしょうか。実は心のとびらは内側から開くようになっているのです。心のとびらが内側から開く様子は、ちょうどお日さまの暖かさにお花が咲くのに似ています。
心のとびらを閉ざしてしまったお友達には、お日さまの暖かさが必要なのです。では、お日さまの暖かさってなんでしょう。

そういえば、みなさんはイソップ物語の『北風と太陽』のお話を知っていますね。「北風と太陽が話をしています。『下を歩いている少年のマントをどっちが脱がせることができるか競い合おう』。どちらも自信満々です。始めに北風が試みます。北風は強風を巻き起こし、マントをはぎ取ろうとします。しかし、少年はマントをしっかり押さえて放しません。次に太陽が暖かい日差しを少年に注ぎます。少年はポカポカ暖かくなってきたのでマントを脱ぎ、太陽が勝った」というお話です。

人の心のとびらを開くのは、このお話に似ています。お日さまのような暖かさとはお友達の思いやり、やさしい言葉ではないでしょうか。
心のとびらを閉じたままでは、お友達もできませんし楽しい生活もできません。けっして幸せにはなれないと思います。

あなたの心はあなただけの宝物ですが、それはお友達や先生、お父さん、お母さんの温かい心やさしい言葉に触れたとき、初めてとびらが開き、宝物のように輝くのです。
太陽のような「やさしさのシャワーがふりそそぐ学校」。それが校長先生が理想とする学校なんです。

(『小学校 心のとびらを開く月曜講話』青木靖著/学事出版より)