学級通信なんでも相談室

第9回
子どもの作品を掲載するときの留意点は?

前回は、個人情報のうち、子どもの姿が映っている写真について考えました。今回は、作文・詩・俳句・短歌・イラストなどの作品や、子どもの授業中や生活の場での「発言」の採録・図画工作物の写真なども含めて「子どもの作品」と考え、その掲載のあり方を考えてみたいと思います。

教師発行の通信類には子どもの作品は一切あるいは原則掲載しないという編集方針ももちろんありますが、子どもの生の声や作品を載せていくことは、誌面を生き生きとさせるためにも、子どもたちの実態を具体的に表現するためにも、本文の叙述を肉付けし豊かにするためにも、極めて有効だと思います。
以下に掲載する際の留意点をいくつか挙げてみます。

まず、何のために、何を狙って、その作品(群)を載せるかということを明確に意識しておきたいと思います。よく、誌面の「埋め草」のように、本文との関連性もなく子どもの作品が載せられている通信を見かけますが、あまり望ましいことではありませんね。必然性やテーマ性を考えたいものです。「シリーズ」物など、誌面を引き締める上でも効果的です。

特定の子に偏らないこと、いつも抜けてしまう子がいないようにすることも大切だと思います。子どもも保護者も、こういうことにとても敏感です。長い短い、上手下手を問わず、掲載数は出来るだけ平均化するよう努めたいものです。掲載一覧表のようなものを作ってチェックしておくとよいでしょう。

「上手下手を問わず」と書きましたが、時にあまりにも未熟な、未完成の作品が通信にそのまま載せられているのを見かけることがあります。「これが実態だから」とか「生の姿を伝えている」とか説明する先生もいらっしゃいますが、如何なものでしょうか?載せられた子どもや保護者が、それでむしろ悲しい思いをするような場になってしまったら、正に逆効果です。私は、通信掲載を、その作品の「指導過程」の一つとして活用したらと考えています。つまり、子どもが書いたり作ったりしたものをただそのまま載せるのでなく、ある子の作品を載せようと考えたとき、それを一つの動機付けにして、ふだんより少しきめ細かく指導したり、時間と場を共有して一緒に推敲したりと、積極的に関わった結果を掲載するのです。先の掲載チェック表を元に、一人ずつこんな機会を持てるとしたら、これも通信活動の効用の一つとなるのではないでしょうか。

そういうことを可能にするのは、「意図的・計画的」な営みとして、つまり教育過程の一つとしても通信活動を位置づけるとことに他なりません。明文化すると否とに関わらず、少し長いスパンでの「掲載計画」を立てておくとよいでしょう。

子どもの作品はその子どもの著作物ですから、公表することについて、事前に子ども自身とその保護者に「了解」を得ておくことが必要です。公表許諾は「著作者人格権」に基づくものです。この点でも、教師と子ども・保護者との日常的な円滑なコミュニケーションと支持的・互恵的な雰囲気づくりが不可欠です。