▼第21回
通信活動の自己点検と評価は?
自分の通信活動がどの程度のものなのか、正しく望ましい道を行っているのだろうか、率直に感想を言ってくれる人が身の周りにいないのでよく分からない、自分の通信を自分自身で評価したり点検したりする方法はないでしょうか、という話を良く聞きます。確かに、自分で自分の通信活動を客観的に見つめ直すことは、とても大切なことだと思います。
● 評価の問題を考えるとき、保護者や子どもたちの声を聞いたりアンケートを取ったりすること以外に、以前にもお話ししたことがあると思いますが、直接の配布対象(保護者や子どもたち)以外に「良き読者」を持つことが、とても有効です。特に、腹蔵なく率直な感想や批判的な意見まで言ってくれる読者がどれだけいるか、さらに望むなら教育界以外にもそのような読者を持てるかどうかは、よりよい通信を制作していく上で大きな意味を持っています。しかし、誰もがそのような条件に恵まれる訳ではありません。それに、他からの評価のあるなしにかかわらず、自己評価・自己点検もまた絶対に必要なことです。
● 最も大切なのは、常に自分を不完全な存在であると認識する謙虚な気持ちとよりよいものをめざそうとする積極的で前向きな姿勢だと思います。その気持ちや姿勢があれば、子どもたちの反応、保護者の反応、同僚の反応から、多くのことを読み取ることが出来るでしょう。日常活動を通しての「常時評価・常時反省」です。
● 同時に、時折、少し改まった気持ちで今までの通信活動を振り返り、自己評価して次の改善に生かしていくことも有意義な作業です。次に、『自分で出来る通信発行チェックリスト』と『学級・学年通信 発行心得(自戒)12か条』を例として紹介しますので、参考にしてみてください。
【自分で出来る 通信発行チェックリスト】
1.内容
□ 取りあげた内容、取り上げ方は適切であり、時宜にかなっている。
□ 現実の学級の雰囲気を伝えている。
□ 特定の子どもばかりが褒められたり目立ったりしていない。
□ 特定の子どもを非難したり中傷したり、責めていない。
□ 全ての子どもがほぼ均等に登場している。
□ 保護者に対する依頼や注文ばかりになっていない。
□ 専門用語など独りよがりな言葉の使い方をしていない。
2.形式
□ 計画的、定期的に発行している。号数は継続している。
□ 題字・発行年月日・号数・学級・発行者名など、必要な事項を明記してある。
□ レイアウト等、見やすさ読みやすさの工夫をしている。
□ 分量は適切で、書き過ぎていない、
□ 文字の大きさは適切で、全体として文章部分と写真・カット等とのバランス
がよい。
□ 内容に相応しい見出しの工夫をしている。
3.印刷前
□ 人権上問題となるような表記や表現はない。
□ 原稿段階で複数の目で読み直している。
□ 管理職 □ 学年主任 □ 原稿依頼した場合の筆者 □ その他の人
□ 誤字・脱字・当て字等はない。
特に、□ 名前 □ 日時 □ 金額 □ 場所
4.配布後
□ 学級の子どもたちとも読み合わせをしたり、内容について話題にしたりして
いる。
□ 学習指導や生活指導等でも利用することがある。
□ 他の教職員や主事さん方にも配布している。
□ 自分の学校外や教育界以外の読者がいる。
□ 子どもたちや保護者の反応を観察するようにしている。
(岩上薫・吉成勝好編著『学年・学級通信の作り方講座』(文教書院)より、一部改変)
【学級・学年通信 発行心得(自戒)12か条】
① 教師本来の教育活動から言えば“プラスα”の仕事であると思え。
本来の仕事をサボる言い訳にするな。
② 一人よがりになるな。公開せよ。同僚の中によき読者を持て。
批判に耳を傾けよ。謙虚たれ。
③ 子どもをよく見よ。子どもとよく遊べ。常時観察・常時取材を心掛けよ。
こまめにメモを取れ。
④ 教師の考えを押し付けるな。偏るな。
⑤ 恩着せがましい文章は書くな。極力グチはこぼすな。
通信を出しているからといってエラそうな顔をするな。
⑥ 保護者に反応を求めすぎるな。投稿・寄稿を強要するな。
⑦ 子どもの人権に絶えず気を配れ。
プライバシー・肖像権・著作権への配慮を忘れるな。
⑧ 登場(掲載)人物を偏らせるな。目立たない子にこそ眼と気を配れ。
⑨ 誤字脱字、不適切な表現に注意せよ。
ちょっとでも気にかかったら、即調べる労を惜しむな。
⑩ 自分らしいユニークさ、特色を出せ。通信づくりは企画で勝負。
⑪ 定期発行を心掛けよ。継続してこそ、信頼が得られる。
⑫ 視野を広げよ。新聞を読め。教育界以外の人の話を聞け。