▼第20回
保存や製本の仕方は?
今回は、1年間発行し続けていく通信をどう保存していったらよいか、そして計画通り年間発行を成し遂げた通信を年度末にどうまとめたらよいかについて、工夫や留意点の一端をお伝えしたいと思います。
● 学校での子どもたちの生活ぶりや学習活動の様子を活写した学級通信は、たとえ1枚1枚はわずかな分量でも、一年間積み重なれば、学級の素晴らしい歴史書となります。子どもたちにとっては、人生で二度と戻れぬ子ども時代の楽しい思い出がたくさん詰まったタイムカプセルとなるでしょうし、教師にとっては、その年度の教育活動の軌跡を綴った実践記録となるでしょう。ぜひ、現物の姿そのままで保存し、冊子として製本したいものです。いや、保存や製本に値するような通信でありたいものです。私のかつての教え子が、結婚の数日前、新居に送る荷物を整理していて小学校時代の文集と学級通信を押し入れの中で発見し、ふと読み始めたらやめられなくなり、徹夜して読みふけってしまった、という話をしていました。何十年も経った後の同窓会に誰かが学級通信を持参し、みんなでワイワイ思い出話に花を咲かせるという光景も経験しました。
● 保存には、二つの方法があります。第一は、各家庭で毎号保存しておいていただく方法です。第1号か遅くとも3号ぐらいまでの内に、保護者に対し「年度末に1冊にまとめる予定ですから保存しておいてください」と依頼します。この方法にも、二つの方式があります。全員に共通規格のファイルを用意してもらう方式と、各家庭ごとに箱とか袋とかを自由に用意してもらう方式とです。いずれの場合も、なくしてしまったり汚れてしまったりした人のために、毎号予備の部数を印刷しておきます。年度末に1年分を揃えて持ってきてもらい、学校で製本します。ファイルの場合は、あえて製本はせず、表紙になる紙をファイルに貼り付けるだけということも可能です。
● 第二の方法は、あらかじめ学級の人数分余計に印刷しておき、学校に保存しておく方法です。この方法の方が確実ですし、きれいに製本できますが、発行号数が多い場合は不経済ですし、何よりも家庭で保存してもらう方が、読者としての意識を高めてもらえるという効果が期待できます。私としては、面倒でも第一の方法をお勧めしたいと思っています。
● どちらの方法をとる場合も、学級の家庭数にプラスして、管理職や同僚・友人など製本した冊子を配布したい人の分も印刷し、保存しておきます。後から追加印刷する場合に備えて、版下(印刷原版)を1年間保存しておくことは必須条件です。
● 製本の仕方にも、二つの方法があります。プロの製本屋さんに依頼する方法と自分自身で製本する方法です。前者の方が楽ですし綺麗に出来ますが、かなりの費用がかかるのが難点です。出来るだけ自家製の製本に挑戦してみましょう。ちょっとした道具が必要で手間も掛かりますが、素人でも結構きれいにできるものです。いくつかある手法のうちの一つを、次に紹介しましょう。
● ホチキスと裁断機と製本テープを使う方法です。
① 表紙、目次、1号から最終号まで、後書きと奥付(学校学級名、発行者名、
発行日など)、裏表紙を順番に組みます。表紙と裏表紙には色画用紙を使
うとよいでしょう。
② 背表紙となる方の端をホチキスで3か所留めます。
③ ホチキスで留めた方の端をカッター(できれば電動の裁断機)で切り落とし
ます。
④ その切り落とした側を市販の糊付き製本テープで包みます。(簡易製本器が
あれば便利です)。製本テープの幅は、ホチキスが隠れる程度が目安です。
⑤ 他の三方の端をカッターで裁断し、出来上がりです。ホチキスと裁断機の性
能にもよりますが、1センチ強ぐらいの厚さまでは製本可能です。日刊など
大量の場合は、上・下巻あるいは3分冊にします。
● 組む作業など、子どもたちと一緒にできるものは、なるべく一緒に行います。他の作業も、可能なら保護者有志の援助をお願いします。通信活動を媒体とした学級経営の集大成の場になるでしょう。