▼第19回
マンネリに陥らず、定期発行を続けるには?
「最近、どうもマンネリで読者から飽きられているように感じます。そんなことも
あって、私自身、モチベーションが減退したのか、発行が滞りがちになっています。どうしたらよいでしょうか」という相談です。初めて通信活動に取り組んだ時など、誰もが一度は通る道だと思います。はっきり言って「特効薬」はありませんが、何とかしてこの状態から脱却したい、乗り越えたいという意欲さえあれば、道は開けます。
● 本当に「飽きられている」のかどうか、確かめてみることが必要ですね。望んだような反応がないから、飽きられている、読まれていないと、早計には判断できません。通信発行は日常的な営みですから、良きにつけ悪しきにつけよほどのことがない限り、そうそう反応は返ってこないものです。そう達観した上で、あえて反応を知るには、積極的に読者リサーチを試みる必要があります。アンケートを取ったり、保護者会の席で感想を聞いたり、日頃から歯に衣着せずに感想を言ってくれる読者を(保護者でもそれ以外でも)持って、折に触れフィードバックを図ることです。そうすることで、読者のニーズがどこにあるのか、どんな記事が期待されているのか、掴むことができるでしょう。
● 読者に飽きられていようがいまいが、「定期発行」は絶対に必要なことです。読者の反応の無さを、サボりの言い訳にしてはいけません。自分でこうしようと決めたこと、保護者に公言したことは、よほどの事情がないかぎり、守りましょう。三日四日の遅れならいざ知らず、「次いつ出るか分からない」状態の不定期発行では、保護者の信用を得るどころか、「いい加減な先生」としてかえってマイナスの評価になってしまいます。厳しいようですが、それだけの覚悟と条件がない場合は、初めから通信活動は「今年度はパス」と見切った方がよいと思います。通信を出さなければ「教師失格」という訳では全然ないのですから。
● 以上のことを基本的な心構えとした上で、「あまり無理なく」「比較的よい内容で」「定期的に発行できる」工夫を考えてみましょう。
① まず、通信を書く時間の確保を心掛けましょう。教師の仕事は多忙を極めますから、定期的な時間はなかなか取れません。で、いきおい「空いた時間」をやりくりして細切れで書き繋ぐか、自宅に帰ってから深夜にじっくり取り組むかということになりがちです。一人一人条件が違いますから、一般的なことはなかなか言えませんが、出来るだけ「学校内で制作」(あえて勤務時間内でとは言いません)が原則。その中で、何曜日のこの時間帯ならば何分間だけ通信づくりに確保できるという予定を組むことができればと思います。その時間を核にして、プラスアルファの時間は、やりくりして見つけていくというのが現実的だと思います。
② 次は、通信制作の「省力化」です。常時取材・メモ活用の必要性は前にも書きましたが、それを紙面に表現する版下づくりの時間は、出来るだけ効率化し短時間で行えるようにしたいものです。そのためには、まず自分の通信のフォーマット(基本形)をしっかり作っておくことが有効です。A4判だったら、題字はここ、記事はいくつ、囲み記事はここ、見出しの大きさはこれ、写真はどこ、とあらかじめ決めておき、そこに字数を合わせて入れていく方式です。書きたいことを自由にどんどん書いていくという随筆方式でなく、限られた紙面に内容を合わせていく新聞記事方式です。文字量の増減は、写真の大きさで調整というバリエーションも可能です。できれば、そのフォーマットを3種類ぐらい用意しておいて、内容に応じて替えていくとか、学期によって替えるとかするのもよいでしょう。
③ マンネリを脱し、読者を読む気にさせるのは、やはり企画の力です。紙面の一角に連載物のコーナーを作り、例えば前回(第18回)で挙げたような内容を選んで載せていったらどうでしょうか。通信づくりが長続きするコツの一つは、発行者自身が制作を楽しむということです。義務感だけでは、苦行になってしまいます。「今度はこんな企画でいこう」「次はどんな特集にしようか」「こう書けばきっとこんな反応があるだろうな」「この記事には子どもも親も驚くぞ」など、攻めの気持ちでアイデアを探し頭を悩ますのも、通信活動の喜び・楽しみの一つです。子ども・保護者・教師の三者が共に心豊かになっていくのに役立つことが通信の役割であるという原点を、忘れないようにしましょう。
● 1年間の通信活動の「ゴール」を見定めておくのも、一つの励みになります。終業式・卒業式までに何号目標とか、1年間終わったら製本して全員に配る予定とか、○○号到達ごとにお祝いをするとか、○○号達成記念の特集を組むとか、自分自身も子どもも親も節目ごとに通信の存在と意義を改めて見直す機会を作ってみるということも、持続のためのモチベーションを高めるのに役立つでしょう。