学級通信なんでも相談室

第16回
デジカメ画像の効果的な活用法は?

デジタルカメラの普及とデジタル孔版印刷機の性能向上とによって、学校・学級通信に写真を掲載することが大変多くなってきました。中には、ほとんど全面写真ばかりという通信さえ見かけるようになっています。写真掲載に伴うプライバシーの保護や肖像権の問題については、第8回「子どもの顔写真などの個人情報をどう扱うか?」で述べましたので、今回は技術的な問題に限定して、デジカメ画像の効果的な掲載の仕方について考えてみましょう。

「1枚の良い写真は1万語の名文に勝る」という言葉があったように思います。写真は、文字や言葉と違い、直接読者の視覚的感性に訴えるメディアです。記事の内容を補完する役割だけでなく、時には文字よりも正確に情景等を伝える手段となります。一般紙においても、記事本文や見出しよりもまず写真に目がいくという場合が多いでしょう。読者に与えるインパクトは、絶大です。通信においても、その優れた特性を活用すれば、より効果的な紙面づくりが実現できるでしょう。

デジカメの出現によって、紙面への写真の掲載が画期的に容易になりました。第一に、フイルムの枚数や現像の費用を気にせず、多枚数の撮影が可能になったこと。いろいろな場面いろいろな角度からどんどん撮って、その中からベストショットを選ぶことができます。第二に、拡大・縮小・トリミング・色変換などの加工が容易になったこと。専門店に依頼しなくても、個人で容易にこれらのことができるようになりました。第三に、撮影してから短時間で掲載までたどり着けること。これらは、パソコンやプリンタの利点です。

しかし、これらの優れた特性には、落とし穴も待っています。最近の学級通信類を見ていて感じることは、過度と言ってよいほどのデジカメ画像の多用です。限られた紙面に小さな画像をたくさん貼り付けてあるため、写真の効果もインパクトも半減、かえって見にくく鬱陶しい感じさえするものが少なくありません。次に、画像掲載の効果を最大限に引き出すための留意点を挙げてみましょう。

① ねらい」をはっきり・・・
画像は、記事の補完物であり、記事そのものでもあります。何のために、どこへ、どんな画像を載せるのか、ねらいを定めて撮影し、掲載することが必要です。

② 選ぶ・・・
たくさんの枚数を撮影することはよいと思います。大事なのは、その中から「これぞ」という1枚か2枚を選ぶという行為です。つい「これも載せたい、あれも載せたい」となりがちですが、心を鬼?にして、捨てましょう。俳句づくりの心構えに「多作多捨」という言葉がありますが、「多撮多捨」でいきたいものです。

③ 動きのある構図に・・・
記念写真的な集合写真は、インパクトも弱いですし、読者にもあまり喜ばれません。構図は出来るだけ大胆に、動きのあるものが望ましいです。望遠機能を使って自然な表情をねらったり、下から見上げるアングルや上から俯瞰するような構図にしたりと、いろいろ試してみるとよいでしょう。「撮影は大胆に、掲載は慎重に」をモットーとして。

④ モノクロを意識して・・・
カラーで撮影しモノクロで印刷する、というのが通信への画像掲載の一般的な姿ではないかと思います。その際、カラーの状態ではとても綺麗だったのに、刷り上がった画像は全体として黒ずんだり、逆に白っぽくなったりと、不鮮明なものになってしまったという経験はないでしょうか。これも、いろいろ試して、よりよい設定を自分で見つけるしかありませんが、一般的に言って、単純明快な構図や濃い薄いのコントラストがはっきりした構図を選んだり、背景が薄い色調のものになるよう心掛けたりするとよいようです。画像処理ソフトを使って必要な部分以外はカットしたりぼかしたりするのも有効です。多くの場合、一度モノクロに変換してから印刷してみると鮮明度は上がるようですし、仕上がり具合も予測できます。

⑤ 説明をつける・・・
写真は記事と一体のものですが、独立したものでもあります。 それが、どういう写真であるのか、読者に(記事本文を読まなくても)分かるように、簡潔な説明をつけることが必要です。新聞編集では、これを「キャプション」とか「絵解き」とか言って大事にしています。絵解きは、画像のすぐそばに付けるのが原則です。また、画像本体に「吹き出し」をつけて、その中に楽しい言葉を入れたりすると、柔らかくほのぼのとした味がでます。

⑥ レイアウトの工夫を・・・
同じ大きさ同じ形の画像が、横一列や縦一列に並んでいるような割り付けを見かけますが、あまり美しさを感じません。一枚の紙面全体の中で、どの位置に、どんな形で、どんな大きさの画像を載せたら、バランスが取れた見栄えのする美しいレイアウトになるか、いろいろ試し工夫してみるのも通信づくりの楽しみの一つです。学校現場の忙しい毎日の中で「とてもそんな余裕はない」という声が聞こえてきそうですが、時にはそういう遊び心も欲しいものですね。