▼第14回
学級通信?それとも学級新聞?
「新採2年目の新米教師です。今年は持ち上がりで少し余裕が出てきましたので、学級通信づくりに挑戦してみたいと考えています。小学校時代の恩師が素敵な通信を出していて、私も先生になったら、いつか出したいとずっと思っていたのです。でも、先輩に相談したら、学級通信もいいけど、学級新聞はもっといいわよと言われました。私には、両者の違いがよく分かりません。子どもたちの成長にとって、どちらが役立つのでしょうか?お教えください」こんな趣旨のお便りを頂戴しました。今回は、この問題を考えてみたいと思います。
● 学級通信と学級新聞とは、発行の目的(めあて)が明確に異なります。両者とも担任の考え方や方針によっていろいろなバリエーションはありえますが、基本的には、学級通信は「教師が保護者を主な対象にし、保護者との連携を目指して書くもの」であり、学級新聞は「教師が教育の一環として計画し、子どもたちを主な対象として子どもたち自身に書かせるもの」と言うことが出来ます。同列に論じることはできません。
● 私は担任時代、自分は学級通信を、子どもたちは学級新聞を同時に発行してきました。年度によっては、お母さん方が自主的に「保護者の新聞」を作ったこともあります。それぞれに、書き手も目的も書く内容も違いますので、とても充実した楽しい学級になったと思っています。私自身の考えでは、担任は学級通信を、子どもは学級新聞をそれぞれ別個に出すのが望ましいと思います。それぞれが響きあいよい影響を与えあえば、よい学級経営よい教育活動が実現する可能性は高まるでしょう。
● しかし、もし両方出す余裕がなく、どちらかを選ばなければならないとしたら、私は躊躇なく学級新聞の方をお勧めします。あえて断定的な言い方をすれば、学級通信は教育活動を側面から支え促すものですが、学級新聞は子どもたちの人間関係を豊かにし個々の子どもに力を付ける、直接的な教育活動そのものだからです。結果としてどちらが有効に機能するかは、担任の力量と共にいろいろな条件によって違いますから、どちらが良い悪いとは一概に言えませんが、この基本的性格の違いだけは認識した上で選びたいものです。
● 両者を折衷するというか、ドッキングさせる方策もあります。学級通信の中に子どもが書く欄を常設する方法と、学級新聞の中に「先生の欄」を設ける方法です。しかし、前者の場合、ただ子どもの作品を載せるだけなら学級通信と何ら変わりありません。子どもたちの自主的な企画が活かせるようなシステムと一定のスペースが必要です。発信の対象も、通信の目的と同じように、「お父さんお母さんお家の方々に向けて」書くようにした方が性格ははっきりすると思います。後者の場合も考え方は同じです。「先生の欄」を毎号あるいは何号かに1回設定させてもらいます(子どものメディアですから担任はお願いして書かせてもらうのです)が、発信の対象は(学級通信の場合と同様)それが子どもたち向けなら子ども向けに、お家の人などが主な対象ならそのように書きます。あくまで「脇役」です。
● 「学級新聞づくり」については、この財団ホームページの「新聞入門ナビ」を参照してください。