はがき新聞活用レポート(5)
コミュニティ一体化のツールとして有効活用(記事作成:2013年春)
島根県浜田市立佐野小学校 勝部 亜矢子先生
お詫び:報告者の所属学校名は、レポート作成当時のもので、現在と違っている場合があります
佐野小学校は1873(明治6)年に創立されましたが、同市三階小学校との統合により、2013年3月に140年という長い歴史の幕を閉じました。閉校時の全校児童14名という同校では小規模校の特徴を生かし、はがき新聞を学校内だけでなく、地域の方々とのコミュニケーションを図るツールとしても活用しました。
自分の考えを要約して伝える力が向上
最初にはがき新聞に着目し、教育活動に取り入れたのは研究主任の勝部亜矢子先生でした。「自分の考えを持ち、生き生きと表現する子」という同校の研究主題に合わせ、コミュニケーションの充実を図るため、音読会やお話会などの活動を進めていました。しかし一方では、表現の仕方を学んでも、その内容を頭の中でまとめる力が不足していると感じたそうです。
その頃『季刊理想』ではがき新聞の存在を知り、2011年9月に担任の3・4年生(複式学級)の子どもたちを対象に実践をスタート。「最初は自分の考えを短く書くことは難しかったようですが、慣れてくると要約力が向上し、表現にも工夫が見られました」と手ごたえを実感。その後、毎月1枚以上、学級ごと、または学校全体でテーマを決め、学校行事や学習内容をはがき新聞にまとめました。
作品を通して地域の方々と活発に交流
同校でははがき新聞を書いた子どもたち1人ひとりが地域の方々に向け、自分の作品を郵送する取り組みを実施しました。
「小規模校では学校内の人間関係が濃密なので、話さなくても意志が通じる面があります。だからこそ、学校外の方とコミュニケーションを図る必要性を感じました。相手のことを考え、分かりやすく、読みやすく書こうと心がけることで作品の質は上がりましたね」
子どもたちが送ったはがき新聞に対し、地域の多くの方々から丁寧な返事をいただきました。勝部先生は当時を「地域のみんなで子どもを育てようというコミュニティ意識が高まるとともに、返事が来ることは子どもたちにとって励みになりました」と振り返ります。
また、はがき新聞はどの学年でも実践できるメリットがあり、「学年によって評価基準(「今回のポイント」参照)を変えることで、学習段階に応じた効果が期待できます」と高く評価しています。
●今回のポイント
このレポートの詳細は季刊理想でご覧いただけます。→季刊理想2013春号はこちら