はがき新聞活用レポート(21)
新聞教育とはがき新聞の連動で生徒の学習能力がアップ(記事作成:2017年夏)
岩手県一関市立奥玉小学校 菅原 千聡 先生
注)報告者の所属学校名は、レポート作成当時のもので、現在と違っている場合があります
1873(明治6)年に開校した一関市立奥玉小学校。2018年の閉校により、145年の歴史に終止符が打たれます。同校では、2016年から積極的に導入した新聞教育(NIE)と連動させて、はがき新聞の作成にチャレンジ。生徒たちの書く力、話す力が向上し、以前にも増して新聞記事を熱心に読むようになったそうです。
さまざまな学習機会に新聞を活用
一関市立奥玉小学校(4年生)で新聞教育(NIE)を積極的に推進したのが、菅原千聡先生(現・一関市立東山小学校講師)です。4年生の国語科では、新聞の特徴や作成方法を学習する「新聞を作ろう」という単元があり、この授業をきっかけにさまざまな学習機会で新聞を活用するようになりました。
教室にストックした地元紙の子ども向け新聞を熱心に読む生徒の姿を見て、「読むだけではなく、新聞づくりを体験させたい」と考えた菅原先生は「はがき新聞」に着目。「どのような夏休みを過ごしたか」をテーマに、初めてはがき新聞づくりに挑戦しました。
作文にも積極的に取り組み、文章を作ることへの抵抗感がなかった生徒も、字数に制限のあるはがき新聞づくりに苦戦したそうです。 「自分が伝えたい内容をコンパクトにまとめるのは、これまでの作文を勝手が違い、書きたいことの半分も書けない生徒もいました」
しかし、実践を繰り返すことで克服。「大事なポイントは何か」「本当に伝えたいことは何か」を明確にすることで、内容を短くまとめ、しかも短時間で書く力が養われていきました。
新聞記事を教材に「はがき新聞」を作成
2016年は、行事や総合的な学習を含め、はがき新聞を4回作成。12月には「季節(冬)の言葉を学ぶ」として、俳句を交えたユニークなはがき新聞づくりを実践。俳句のテーマやキーワードになる言葉を新聞記事から捜すという新聞教育と連動した取り組みで、理想教育財団の俳句専用原稿用紙を使用し、左のスペースに俳句、右側にその背景や思いを70~80字で書き入れます。
「生徒たちは自宅から新聞を持ち寄り、思い思いに冬の言葉を捜して記事をスクラップ。分からない言葉は辞書で調べるなど意欲的に取り組み、授業では冬の言葉を使った俳句づくりに挑戦しました」
一関市は俳句が盛んな土地柄で、生徒たちは年に一度、地域の愛好家に俳句づくりの指導を受けているとあって、俳句づくりは得意分野。2時間の授業で俳句、文章、イラスト制作の全工程を、ほとんどの生徒が時間内に仕上げることができたそうです。
完成した作品を「岩手県小中学校新聞コンクール(岩手県新聞教育研究協議会)」に応募すると、「はがき新聞の部」で見事に最優秀賞を受賞。生徒たちの大きな自信になったと言います。
●今回のポイント
このレポートの詳細は季刊理想でご覧いただけます。→季刊理想2017夏号はこちら