はがき新聞活用レポート(16)
「はがき新聞」制作で文章作成の苦手意識を払拭(記事作成:2016年春)
茨城県神栖市立太田小学校 幡 明枝 先生
お詫び:報告者の所属学校名は、レポート作成当時のもので、現在と違っている場合があります
明治18年に創立した歴史と伝統を有する茨城県神栖市立太田小学校。同校は2013年にはがき新聞づくりを導入。2015年度からは5年生の担任となった幡明枝先生(2016年度は教務主任)を中心に、本格的に授業で活用しています。文章の読み書きが苦手な生徒の書く力が向上するなど、その教育効果は多岐に渡っています。
初めは文章量を少なくするなど段階を重ねて実践指導
NIE(新聞を教材として活用すること)の指定を受けていた同校では、はがき新聞の導入以前からA4サイズの新聞作成に取り組んでいました。しかし、文章の作成が苦手な生徒には、少し荷が重い面もあったそうです。
「文章を書くことが苦手な子どもたちにとって、A4サイズは大きすぎて、紙面を埋めるだけで精一杯。完成に至らない生徒も少なからずいました。その点、はがきサイズで、書くスペースも少ないはがき新聞は、継続的に文章を作成する機会を与える最適のツールだと思って導入を決めました」と幡先生。初期段階は、文章量を全体スペースの3分の1くらいに抑え、生徒が書き慣れることを重要視。ある程度の実践を重ねてから、文章量のアップなど生徒の習熟度に合った紙面づくりを指導しました。
その結果、初めは文章量が少ないにもかかわらず、筆が進まない生徒も次第に意欲的に取り組むようになり、書くスピードも目に見えて上がり、反復学習の効果が表れたと言います。
「何を書かせるのか」その狙いを明確にすることが大事
2015年度の生徒1人当たりのはがき新聞作成枚数は10枚以上。教科学習や学校行事のほか、航空会社の方や新聞記者などの校外講師を招いた体験学習のまとめ、保護者や地域の方々、他校の児童など読む相手を意識したはがき新聞づくりも実践。「行事の感想をまとめる」「体験学習の内容をまとめる」「相手に感謝の気持ちを伝える」など、「子どもたちの『やらされ感』を少なくし、モチベーションをアップさせるためにも、どの授業で何を書かせるのか、その狙いを明確にさせて指導することが大事です」と幡先生は指摘します。
また、アンケート調査で「はがき新聞を書いて楽しい」と回答した生徒の割合が62%(2015年7月)から90%(2015年12月)にアップ。全国学力・学習状況調査等の論述問題で無答率が著しく低下するなど、さまざまな教育効果が確認されています。
●今回のポイント
このレポートの詳細は季刊理想でご覧いただけます。→季刊理想2016春号はこちら