はがき新聞活用レポート(14)
指導方法を工夫して、低学年児童の「書く力」が向上(記事作成:2015年夏)
東京都板橋区立前野小学校 石橋 一路先生
お詫び:報告者の所属学校名は、レポート作成当時のもので、現在と違っている場合があります
「言語活動の充実」を目指し、2012年から積極的にはがき新聞を授業で活用している東京都板橋区立前野小学校。国語科や生活科など教科学習と連動させて、「体験させながら教える」など先生方が新聞制作の指導方法を工夫。低学年児童の「書く力」の向上、生徒同士のコミュニケーションの促進を図っています。
最後まで書かせてから指導する
「低学年でも無理なく実践できるはがき新聞づくり」を掲げる板橋区立前野小学校の石橋一路先生。低学年の児童に学校行事のたびに書かせる作文は生徒の負担になると考え、少しでも楽しく作成することができるはがき新聞を授業に導入し、高い効果を得ています。
「低学年の生徒たちは、そもそも新聞がどのようなものかわかりません。最初に題字や見出しなど新聞の要素を一通り説明しましたが、なかなか理解してもらえず、指導の難しさを実感しました」
石橋先生は長々と新聞制作について説明するより、自分が作成した見本を参考に生徒に書かせることを実践。書く体験をさせながら指導するスタイルが功を奏し、生徒たちが意欲的に取り組むようになったそうです。見本は低学年のレベルに合わせたシンプルなもので、複数のパターンを用意することがポイント。子どもたちの選択肢が広がり、主体的に作成するようになるからです。
指導上の注意点は「とにかく最後まで書かせることが大事。修正すべき点はすべて書き終わってから指導します。途中で間違いを指摘すると生徒のやる気をそいでしまいます」
はがき新聞は全児童分を印刷して配布
石橋先生は、生徒たちが作成したはがき新聞を常に全児童分を印刷して配布。友だちの作品の良さを発表し合う機会を設けて、コミュニケーションツールとしても活用しています。
また、学級で経験したことや楽しかったことをテーマに、毎日1人ずつ順番に全生徒が作成したはがき新聞を「学級新聞」として発行。この試みは保護者から好評を得ると同時に、東京都新聞コンクールで奨励賞を受賞するなど高い評価を受けています。
さらにオリンピック教育の一環として、世界の国々の特徴をはがき新聞で紹介する取り組みも実施。先生たちが驚くようなハイレベルな作品が生まれています。
●今回のポイント
はがき新聞は、学校行事のまとめのほか、国語科や生活科など教科学習でも実践。例えば2020年の東京オリンピックを見据えたオリンピック教育の一環として、国語科の学習(「世界のあいさつ」)と連動しながら、その国の特徴をはがき新聞にまとめる取り組みも実施。「私がつくった見本(フィリピン)を参考に、子どもたちは自分で取り上げる国を選び、図書室で内容を調べて、作品にまとめる。内容の濃い授業ができたと思います」
このレポートの詳細は季刊理想でご覧いただけます。→季刊理想2015夏号はこちら