第8回理想教育財団教育フォーラム

2018年2月4日(日):東京 時事通信ホール

開催プログラム

開催テーマ

考え、議論する道徳科を創る
― 豊かな心と言葉を育むはがき新聞の活用 ―

特別講演

学習指導要領改訂の要点
― 特別の教科 道徳の実施に向けて ―

講師文部科学省初等中等教育局 教育課程課 教科調査官(道徳)

浅見 哲也 氏

基調提案1

主体的・協働的な学級づくりのすすめ
―マンガで学ぶはがき新聞の活用―

提案者愛知教育大学 准教授

磯部 征尊 氏

発表者 犬山市立南部中学校 教諭         渡津 光司 氏
新潟市立亀田小学校 教諭         寺山 晋一 氏
名古屋市立宝神中学校 教諭        中西 真子 氏

基調提案2

豊かな言語活動を通した新しい学級づくり
―話し合い活動で育てる子どもたちの人間関係―

提案者早稲田大学教職大学院 客員教授 / 開智国際大学 准教授

遠藤 真司 氏

発表者 墨田区立第三寺島小学校 主任教諭     関口 友子 氏
練馬区立光が丘夏の雲小学校 主幹教諭   庄司 和明 氏
練馬区立光が丘夏の雲小学校 主任教諭  佐々木 千穂 氏

座談会

道徳科における授業づくりと評価のあり方

司会 早稲田大学教職大学院 教授

田中 博之 氏

登壇者 文部科学省初等中等教育局 教科調査官   浅見 哲也 氏
宇部市立東岐波小学校 校長        坂本 哲彦 氏
新宿区立落合第二小学校 教諭       梅澤  泉 氏
尾張旭市立旭中学校 教諭         彦田 泰輔 氏

「考え、議論する道徳科を創る」をテーマに

 第8回目となる今回の教育フォーラムでは、「特別の教科である道徳」について、道徳科の学習指導や評価、学級づくりや言語活動との関係性など、さまざまな視点でご登壇した先生方に検証していただきました。また、道徳科の授業づくりにおける「はがき新聞」の実践例も発表され、会場ロビーには小中学生の作品が多数展示されました。
 開会にあたり当財団の羽山明理事長が「本フォーラムを通して、少しでも教育界のお役に立つことができればと思っています。教育現場で活かせるヒントをお持ち帰っていただければ、これにまさる喜びはありません」とあいさつ。続いて、林芳正文部科学大臣からのお祝いメッセージが披露され、フォーラムがスタートしました。

道徳科の授業は「主体的・対話的で深い学び」が重要

 特別講演「学習指導要領改訂の要点―特別の教科 道徳の実践に向けて―」では、浅見哲也先生が「道徳科の目標の理解」「新学習指導要領の趣旨」「主体的・対話的で深い学び」「道徳科の評価」「道徳的行為が実践できる子どもの育成」「道徳科の授業で大切にしたこと」について解説。道徳教育と道徳科の関係、これまでの道徳授業の課題や問題点などを指摘し、「児童生徒が真剣に考え、児童生徒が共に語り合い、多面的で多角的に考えることが重要」と道徳科の授業のあり方を論証。また、道徳科の評価についての指標や配慮など、教育現場で参考になる有意義な説明が行われました。

 基調提案1「主体的・協働的な学級づくりのすすめ―マンガで学ぶはがき新聞の活用―」では、磯部征尊先生が「学級づくりと道徳科における学びとの連携」について講演。学級力アンケートやはがき新聞を活用した主体的・協働的な学級づくりの推進に言及しました。また、学級づくりの実践例を渡津光司先生、寺山晋一先生、中西真子先生が発表。学級力の向上について、活発なディスカッションが展開されました。

 基調提案2「豊かな言語活動を通した新しい学級づくり―話し合い活動で育てる子どもたちの人間関係―」では、遠藤真司先生が「豊かな言語活動を進める国語科の役割」の重要性を強調。国語科の授業で「話す力・聞く力」を鍛えることが、「考え、議論する道徳科」における対話活動の土台になると力説しました。また、算数や特別活動、国語科の対話的授業の実践例を、佐々木千穂先生、庄司和明先生、関口友子先生が紹介。ユニークな学級づくり、学級経営のあり方について発表が行われました。

 フォーラムの最後を締めくくる座談会は、田中博之先生が司会進行を務め、「道徳科における授業づくりと評価のあり方」について討論を展開。坂本哲彦先生は「道徳科における授業づくり」について解説。指導課程や学習内容の明確化、授業の工夫や改善点を提案されました。梅澤泉先生は、真心カードを使った葛藤マップの作成や道徳新聞づくりなど、道徳ワークショップの実践例を紹介。彦田泰輔先生は、心の関係図やはがき新聞を活用した道徳科と学級づくりの実践事例を発表。道徳科における評価とはがき新聞の活用についてのディスカッションも行われました。田中先生は、道徳科の具体的な授業づくりと学習評価のあり方を検証。指導の課題を指摘されました。また、教科書の読み物教材の利用と多用な副教材の活用などにも言及し、道徳科の授業づくりと評価のあり方を浅見先生が総括しました。最後の質疑応答では、ご登壇の先生方にフォーラムの参加者から多数の質問が寄せられました。事前に来場者が提出した質問カードの内容に沿って、先生方が回答する形式で進行。道徳科で使用する教材に関する質問では、浅見先生は総括で述べた内容を踏まえ、主たる教材は教科書であり、それを中心とすることが基本であると回答。さらに、副教材を使用する際の注意点に触れました。
 また、道徳科の評価の工夫を尋ねる質問には「~子どもたちの良さを認めてあげるところが重要なのでぜひ校内で研修会を開き、共通理解を確立していただきたい」と述べました。

 約5時間に及ぶ長時間の講演でしたが、満員になった会場では参加者が熱心にメモを取られ、真剣な表情で先生方の議論を聴講されていました。「特別の教科 道徳」の実施に向けて、さまざまな角度から検証でき、道徳科の新しい方向性をご提示できたフォーラムでした。
 フォーラム会場のロビーには、今回のテーマにちなんだ先生方の実践事例や使用した教材、作成したはがき新聞などが掲示され、来場者の関心が集まりました。

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