第5回「はがき新聞」ワークショップ

2017年9月3日(日):新大阪丸ビル別館3ー1室

講師
德永 加代 先生  帝塚山大学 現代生活学部こども学科 准教授

 当財団は、学習課程における「言語活動の充実」のために、子どもたちの「思考力・判断力・表現力」を育み「考える力」「書く力」を高める方法として[はがき新聞づくり]を推奨してまいりました。2017年7月末現在、[はがき新聞]の実践校数は約1,700校にのぼり、財団から教材支援を継続しています。また、[はがき新聞づくり]は新聞教育(NIE活動)としての取組みをはじめ、国語・社会・総合等多くの教科での実践が報告されています。
 そこで当財団では、「これからの授業に取り入れたい」と思われている先生方を対象に、2016年度より[はがき新聞]のワークショップを開催しています。その第5回目となる今回は、[はがき新聞]の授業実践に取り組まれている帝塚山大学現代生活学部こども学科 准教授 德永加代先生を講師にお招きし、参加された先生方に実際に[はがき新聞づくり]を体験していただきました。

 ワークショップに先立ち、当財団の酒井純司顧問があいさつに立ち、まず「子どもたちの書く力を高めていく手立て」として[はがき新聞]を紹介。さらに、[はがき新聞]を導入することにより、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)でも問われている”記述力“や”語彙力“がどのように向上すると期待されているかなど、[はがき新聞]の有効性を述べました。

 まず、德永先生は帝塚山大学の学生さんが書いた[はがき新聞]を紹介し、[はがき新聞]の基本形について説明されました。そのうえで小学校や中学校における導入事例とし[はがき新聞]を使った本の紹介活動について詳しく解説されました。
 続いて、德永先生は「はがき新聞で身につけたい力とは?」と先生方に質問。突然の質問にも関わらず、德永先生から指名された先生は自身の考えを述べられました。それを受ける形で德永先生は「短作文の力」「記事を選ぶ力=判断力」「見出しを考える力=要約力」「相手意識(構成、内容、イラストなど)」の4つが身につくとまとめられました。

 

 その後、德永先生から“おすすめの本”を[はがき新聞]に書く場合の掲載項目として下記が例に挙げられました。
新聞の名前/本の題名・作者/見出し/登場人物/あらすじ/作者紹介/心に残った言葉、セリフ/著者の感想/クイズ/読み手への問いかけ/絵 など

 そして、いよいよ実際の[はがき新聞づくり]がスタート。いずれの先生も“おすすめの本”を持参されていたこともあり、早速、“おすすめの本”を手に、主人公のイラストを描いたり、紹介文を書いたりと、作品作りに没頭。約40分間、ひたすら[はがき新聞づくり]に取り組まれました。 その後、完成した作品はハガキに3枚ずつ印刷され、1枚は会場前方のホワイトボードに貼られた16枚分の透明ポケットがついた“ミテミテ”にて掲示。残りは先生同士で交換するなど、交流を深めていただきました。

 作業が一段落したところで、德永先生は先生方に「どのような学習場面で、どのような目的で[はがき新聞]を書かせたいと思いますか?」と質問。まずは個人で答えを考えていただいたのち、4名ずつのグループに分かれて意見交換していただきました。そして、「同じ答えは言わないように!」と前置きしたうえで、16名全員の先生方に順番に発表していただきました。

  • 運動会などの行事の前のお父さんやお母さん向けの招待状
  • 修学旅行のおすすめスポット
  • 職場体験学習の事前と事後の感想
  • 体育の技についての“コツ”カード
  • 図工の時間の作品紹介
  • 新入生に向けた部活動紹介
  • 校外学習のレポート
  • 自作の短歌とその解説
  • 授業の振り返り
  • “自分ギネス”の達成したこととその感想
  • 絵日記
  • 敬老の日に向けての祖父母や高齢者へのメッセージ
  • 道徳で学習したことのまとめ
  • 頑張りたいことなどを書いて共有
  • 係活動の内容や困っていること
  • “いろいろな仕事”を調べる授業のなかで「仕事内容の紹介」をはがき新聞にする

 その後、德永先生は[はがき新聞]は一方的な情報発信ではなく、それに対しての感想を別の児童・生徒に書かせることにより、コミュニケーションツールとして活用できることを紹介。そのうえで、1年生から6年生までの学年ごとに応じた活用方法や、1分間スピーチへの応用などについて説明されました。
 最後に、子どもたちの語彙力を高める手段のひとつとして、辞書で調べた言葉をまとめることができる[ことばノート]の活用方法を紹介。「ぜひ、子どもたちが“言葉の豊かな使い手”になれるよう、[はがき新聞]や[ことばノート]を上手に活用してください」と述べられ、第5回はがき新聞ワークショップは終了しました。

 今回、初めて[はがき新聞づくり]に取り組んだ先生方からは、「初めて[はがき新聞]を書きました。もっと簡単かと思っていましたが、想像以上に文章をまとめるのが難しかったです。『行事について』など、テーマをしっかりと与えれば、子どもたちもおもしろく取り組むのではないでしょうか」「“POPづくり”は授業に取り入れたことがありました。今回、ワークショップに参加したのを機に、子どもたちにも[はがき新聞]を書かせてみようと思います」「授業の振り返りのために導入してみたいと思います」「授業だけでなく学級活動にどのように使えるのか、これから考えてみます!」など、前向きな感想が数多く聞かれました。
 新学期がスタートしたばかりの日曜日開催でしたが、いずれの先生からも「有意義な時間を過ごせた」と喜んでいただくことができました。