ブックタイトル季刊理想 Vol.124

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概要

季刊理想 Vol.124

海外からのお便り ●?? カトマンズ補習授業校校長 菅沼 一夫保護者教員が熱のこもった学習指導を実施 カトマンズ補習授業校(以下、補習校)は1979年、当時の日本人在住者の強い願いによって開校されるに至りました。それから38年、現在では約55名の児童生徒が毎週土曜日に登校する学校となっています。 ネパールの休日は日曜日ではなく、土曜日となっているので、補習校の開校日は毎週土曜日と決められています。なので、現地校に通う多くの児童生徒は、休みの日なく勉強をしているということになります。 学校の運営に関しては、各々保護者が分掌分担を負い、授業以外のさまざまな事務的業務、雑務的業務を行い、教員とともに補習校を支えています。教員との連携も強く、教員と保護者が話し合い、連絡を取り合って共同体を作りあげているといえます。 また、13名の教員のうち8名が保護者(保護者教員)によって構成されていることも大きな特徴といえるでしょう。保護者の授業料負担を抑えるため、このようにして学校業務負担を分け合っています。補習校は手づくりの“学校”なのです。 授業は1コマ40分で行っており、1日5限、国語と数学・算数の2教科を実施しています。他の教科についても日本の文部科学省検定済の教科書を毎年送っていただき、各児童生徒に配布し、家庭学習で補ってもらうことにしています。ほとんどの教員は、教員免許は持っておらず、しかし、熱のこもった学習指導を行うため(児童生カトマンズ補習授業校校舎各年代に応じたきめ細かな教育を展開。保護者教員も熱心に指導する究極の“ひらかれた学校”で、日本人としての“約 40 年の歴史を刻むカトマンズ補習授業校。教員と保護者の緊密な連携の下、約 55 名の児童生徒が元気よく学んでいます。徒の学力向上のため)、土曜日に向け、学校内外での授業研究に抜かりがありません。  日本の学校と変わらない授業 毎週土曜日、学校に登校してくる子どもは満面の笑顔です。9時15分から玄関前の庭で朝礼が始まります。「おはようございます」と日替わり当番の子どもが号令をかけ、先生からの連絡を聞き、ラジオ体操第1を行います。それが終われば、当番があいさつをし、教室へ入ります。授業の始まりです。担任が簡単な連絡にジョークを交えながら子どもとの距離もはかります。体調のチェックも怠りません。ネパールの大地震があってからは、特に子どもたちの体調には気を配っています。PTSDの恐れもあるからです。 授業が始まると、日本の学校とまったく変わりません。 先生と児童生徒とのやり取り。保護者の中には、教師をやってみて初めてわかることもあるといいます。先生や学校の立場・見方と、親の立場・見方の両方を体験できる貴重な学校です。究極の“ひらかれた学校”とも言えましょう。 授業に臨む子どもたちは、活き活きとして先生の質問に答えています。 国語は教科書に沿い、内容をよく理解しようとします。時には、生徒同士の話し合いも行われます。補習校の生徒にとって漢字は大きな壁になることも多いです。また、教科書で初めてみる単語も多いようです。語彙を増やすことも補習校の大きな役目となります。20 ◆ 季刊理想 2017 夏号