ブックタイトル季刊理想 Vol.124

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概要

季刊理想 Vol.124

“アイデンティティ”を形成する 算数では、小学2年で九九と出会います。九九でかけ算を行うことは彼らにとって、困難を極めます。なにせ、現地校では、英語で計算しているのですから。また、文章問題を解くことも大変です。ネパールの現地校では、計算練習が主で、文章問題はしないらしいです。先生も計算のやり方は説明しますが、「なぜ、そうなるのか」というような理屈は学ばせてくれません。 海外で暮らすと、日本の学力観と言うものを改めて評価できます。日本の教育はすばらしいものです。日本との関係を確認し、自分に誇りを持つ そのような学校生活の中で、先生と子ども、学習を軸としたやり取りを行いながら、関係を深め、理解し合い、成長していきます。 子どもたちの中には、週に一度の補習校での生活を待ち望んでいるものも多くいます。勉強はさほど好きではないとしても、友だちとの交流や日本人の先生とのやり取りを楽しみにしています。 児童生徒は、日本語での日本の学習指導要領に沿った「学び」を重ねていくことで、日本との関係を確認しているようです。そして大切な“アイデンティティ”を形成していきます。彼らは、日本に、そして日本とのかかわりのある自分に誇りをもっています。 そうした子どもたちが、将来ネパールと日本の関係を深めて行ってくれることに、大人たちは大きな期待もします。実際に、補習校を卒業した保護者の子どもが現在通ってきてくれています。 そういう「つながり」がこの2・3年で出来てきたのです。喜ばしいことです。派遣・中期滞在者の子女に限らず、定住者が脈々と歴史を重ねていってくれることに補習校としての存在の意義の大きさを感じざるを得ません。  放課後に行われる行事も魅力 何といっても、放課後にあるさまざまな行事も魅力となっています。平成28年の行事は、入学式(4月)、七夕音楽会(7月)、日本人会主催 盆踊り(8月)、補習校キャンプ(10月)、学習発表会、日本人会忘年会(12月)、もちつき大会、日本人会主催 運動会(1月)、卒業証書授与式、謝恩会(3月)でした。 放課後の行事は、保護者がワーキンググループをつくり、実施しています。行事を行うための準備や当日の忙しさは大変なものです。さらに、限られた予算の中で行わなければならず、大変な苦労を強いられています。それでも、子どもたちの喜ぶ姿に支えられて、日々の仕事のある保護者の方々が、時間を割き補習校のために尽力されています。まったく頭の下がる思いです。(主任 河村禎憲)季刊理想 2017 夏号 ◆ 19